フェラーリ458 イタリアを中古で(2) 一糸乱れぬNA V8エンジン 文句なしのスーパーカー

公開 : 2025.09.08 19:10

印象的なピニンファリーナ・ボディをまとう458 イタリア 高騰前に楽しむなら今がチャンス? 一糸乱れず吹けるV8に優しい乗り心地 最高水準の操縦性 UK編集部が傑作フェラーリを振り返る

一糸乱れず吹け上がるNAのV8エンジン

2010年代前半のスーパーカーへ期待する性能を考えた時、フェラーリ458 イタリアが掲げた数字は決して突出したものではない。0-100km/h加速は4秒以下、最高速度は320km/h以上が1つの基準といえた。

だが458 イタリアは、出色のプロセスでそれを実現する。4.5L V8エンジンは自然吸気でありながら、1.0L当たり126ps以上。20世紀には、不可能といえたような高出力を叶えていた。最大トルクは54.9kg-mと太く、3000rpmの低い回転域から生み出される。

フェラーリ458 イタリア(2009〜2015年/英国仕様)
フェラーリ458 イタリア(2009〜2015年/英国仕様)

レッドラインは9000rpmで、そこまで一糸乱れず吹け上がる様は感動的。レスポンスもリニアで、高度な製造技術と電子制御技術を裏付ける。

フラットプレーンクランクだが、排気音は重層的。吸気音とのシンフォニーは、他に類を見ないといっていい。必要なら、マネッティーノ・ダイヤルをローグリップにすることで、ボリュームを抑えることもできる。

最高水準の操縦性 しなやかな乗り心地

トランスミッションは、デュアルクラッチAT。シングルクラッチATのような生々しさはなくても、変速の素早さは段違い。ブレーキはカーボンセラミックが標準。効き始めは穏やかだが、フェードとはほぼ無縁だ。

操縦性は、同時期のロータスエヴォーラを超えたとまでは表現できなくても、最高水準。ステアリングのロックトゥロックは2.0回転とクイックで、フロントノーズが間髪入れず反応する。それでいて、直進安定性も素晴らしい。

フェラーリ458 イタリア(2009〜2015年/英国仕様)
フェラーリ458 イタリア(2009〜2015年/英国仕様)

車重はエヴォーラより重いにもかかわらず、コーナリングは遥かに意欲的。ポルシェ911 GT3級の没入感までは得られなくても、手のひらへ伝わる感触は間違いない。

ドライブモードを問わず、乗り心地はしなやか。ダンパーは2段階に調整でき、ノーマルのままでも快適といえる。限界領域での落ち着きと安定感はミドシップ・フェラーリならではだが、控えめな速度域でも存分に楽しめるはず。

シリアスさがやや低まる458 スパイダー

458 スパイダーの運転体験も、概ね同様。ただし、シリアスさは若干低められている。リトラクタブル・ルーフの獲得に伴い、ダンパーが僅かにソフト側へ振られたことと、増えた車重の影響といえる。

とはいえ、それ以外のシャシーやパワートレインは同じ。酷く傷んだアスファルトでは、ボディシェルが震える場合もあるものの、一般的な環境なら剛性感はかなり高い。

フェラーリ458 スパイダー(2011〜2015年/英国仕様)
フェラーリ458 スパイダー(2011〜2015年/英国仕様)

燃費は、カタログ値で7.3km/L。実際に達成できたらラッキーだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フェラーリ458 イタリアを中古での前後関係

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