静止状態から7秒以下で160km/hに到達

725psに達するパワーの割に、クーペほど息を呑む加速を味わえるというわけでもない。比較すれば、という話だけれど。91.5kg-mという豪腕級トルクのおかげで、7秒以下で静止状態から160km/hに到達。ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJよりも0.5秒遅れるだけだ。

磨き込まれた上質なダイナミクス性能と、長距離走行時の快適性、かなり狭いとはいえ使いでのあるリアシートを備えているアストン マーティンDBS。ミドシップで2シーターのランボルギーニと直接比較するのは不合理でもある。

その他の部分では、優れたクーペ以上の向上を獲得している。トランスアクスル式のトルクコンバーター式ATの変速は、低回転域で積極的に行われ、滑らかになった。サーボのアシスト量が減らされたカーボンセラミック・ブレーキのフィードバックも、ドライバーへ伝わる量が増え、自然さも増した。

このことはヴォランテにとっては特に重要。その大きな存在感を楽しみながらソフトトップを開き、ダンパー・レートをソフト方向に戻せば、極めて穏やかに開放的な高速走行を楽しむことができる。ソフトトップの開閉は49km/hまでなら走行中でも可能で、停車時はクルマのキーを用いて、14秒で完了する。

屋根を開けば、5.2ℓV12の息づかいを直接に感じることができる。ケルンで生産されている過給ユニットは、先代のDBSに搭載されていた5.9ℓユニットのように、鮮烈な咆哮を楽しむことはできない。しかしドライビングモードで最もアグレッシブなエンジンのマッピングを選ぶと、エグゾーストノートは充分に魅惑的。なめらかな回転フィールに唸り声がクロスオーバーしてくる。

画像　比較 DBS SL：クーペとヴォランテ　全65枚