5.2ℓV12の直接的な魅惑 アストン マーティンDBSスーパーレジェーラ・ヴォランテ 試乗

公開 : 2019.08.01 10:10  更新 : 2019.08.01 12:15

V12のパワーと存在感を直接的に体感

アストン マーティンは電動パワーステアリングの開発にも、こなれている様子。メカニカル・リミテッドスリップデフの効きが強く、長いノーズが向きを変えるタイミングは期待ほど機敏ではないかもしれない。しかしレスポンスは充分以上で、ステアリングのレシオは13.1:1、ロックトゥロックは2.27回転とクイック。スーバー・グランドツアラーと名乗るに相応しいギアリングだといえる。操舵時の重さも不自然さがなく、手のひらに伝わる路面の接地感は、フェラーリベントレーなどのライバルを遥かに凌駕する別次元のものだ。

残念な部分もなくはない。価格の割に、ソフトトップを閉じていても高速走行時の風切り音がうるさすぎるきらいがある。フォールディング・ハードトップをもつフェラーリ・ポルトフィーノや、恐らく新しいベントレー・コンチネンタルGTCよりもボリュームは大きいだろう。ラゲッジスペースも小さいし、メルセデス・ベンツ製由来の電子機器関係も、やや時代遅れ状態だ。

また、超軽量であるべきスーパーレジェーラと名乗っていても、2名乗車時の全体的な車重は2tを超えてしまう。増えた車重の影響は明確に感じ取れるから、クーペボディのDBSを選ぶ理由も充分にある。

しかし、ヴォランテは極めて有能なドライバーズカーだ。圧倒的なV12のパワーと存在感を、屋根を開けばより直接的に体感することができる。驚異的なグランドツアラーとして、この組み合わせの誘惑に勝つことは難しいだろう。

アストン マーティンDBSスーパーレジェーラ・ヴォランテのスペック

価格:24万7500ポンド(3366万円)
全長×全幅×全高:4712✕1968✕1280mm(クーペボディ)
最高速度339km/h
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:7.1km/ℓ
CO2排出量:−
乾燥重量:1863kg
パワートレイン:V型12気筒5204ccツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:725ps/6500rpm
最大トルク:91.5kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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