クルマとは動くアート デザイナーに訊く アイデアは映画やゲームから 後編

公開 : 2019.09.22 20:50

スティーブ・ジョブス同様、見えないところにも手を抜かないからこそ、素晴らしい作品が出来上がるのであり、そうした拘りには3Dプリンターが強い味方となっています。毎年ネバダ州の砂漠で開催されているというフェスティバルにも興味が尽きません。

もくじ

インスピレーションは至るところから
カギは3Dプリンター ひとびとも理解?
番外編:動く芸術

インスピレーションは至るところから

「大きな荷重が掛かるだけでなく、まるで火星探査機のように砂漠を滑らかに走り廻るからです」と、彼は言う。

このクルマでは、シボレー製ビッグブロック454エンジンにルーツ式スーパーチャージャーを組み合わせており、そのパワーとトルクは630ps、92.6kg-mにも達している。

バリリアン・スチール
バリリアン・スチール

「巨大なまるで蛇のようなベルトがお気に入りです」と、チャンは言う。「次のモデルはアメリカンホットロッドにインスパイアされた作品ですが、実際の車両とは違い、すべてのメカニカルコンポーネントが目視可能です」

チャンは至るところからインスピレーションを得ている。

バリリアン・スチールのエアロダイナミクス性能は、そのフレームやシャシー、さらにはインレットとエグゾーストパイプの影響を受けるとともに、インボード式ブレーキシステムは、チャンが若いころのジャガー(彼はEタイプ、特にイーグル社が徹底的なレストアを行ったモデルがお気に入りだと言う)にインスパイアされたものだ。

一方、チャンにとって3Dプリンターはその作品作りには欠かせない存在となっており、「可能性の世界を広げてくれました」と、彼は言う。

カギは3Dプリンター ひとびとも理解?

「例えば、バリリアン・スチールのフロントフェンダーはCADでデザインした後、データを3Dプリンターへと送り、樹脂でこの独特な『竜の鱗』を成型しています。こうして作った樹脂の型から鋳型をおこし、スチール製のフェンダーを製作したのです。ホイールハブの装飾にも、多くの工夫が必要でした」

3Dプリンターがもたらす創造性により、チャンは自ら製作したエグゾーストパイプ内面のように、外から見えない部分により多くの精力を傾けることが出来るようになったという。

フラックス・キャパシター
フラックス・キャパシター

「スティーブ・ジョブスは、外から見えないコンピュータ内部に拘る理由を訊かれたとき、こうした見えない部分への拘りこそが全体に影響するのであり、単に問題無いというレベルと、素晴らしい製品を分けているのだと答えています」と、チャンは話す。

注文を受けて製作したのはバリリアン・スチールだけであり、その他の作品は家具や家の設計といった仕事の合間に、チャンが自らのために創り出したものだ。

それでも、こうした作品は独特の方法でひとびとを結び付けていると彼は言う。

「ひとびとは毎日クルマと接しています。クルマとはどういうものかということを理解しており、どれほど突飛なデザインであろうと問題ではありません。わたしの作品も理解して頂けるはずです」

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