【WRC前提の3ドア】トヨタGRヤリス・プロトタイプ 新開発1.6L 3気筒ターボ 後編

公開 : 2020.01.03 10:20  更新 : 2021.02.20 18:54

ヤリスの姿をした4輪駆動のラリーマシン、トヨタGRヤリスが2020年末に登場する見込みです。AUTOCARでは一足先に、ポルトガルのサーキットでプロトタイプの試乗を許されました。

もくじ

新開発の3気筒1.6Lターボは250ps以上
ラリードライバーが望むであろう仕上がり
価格はシビック・タイプR並みの可能性も
番外編:グループBとは異なる今のWRCマシン
トヨタGRヤリス・プロトタイプのスペック

新開発の3気筒1.6Lターボは250ps以上

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
トヨタGRヤリスに搭載される新しい3気筒エンジンは重量を軽くし、効率を高めることを重視して開発された。開発チームを率いた齋藤尚彦によれば、量産の1.6Lユニットの中でも最も軽量なエンジンだという。最高出力は250ps、最大トルクは35.6kg-m以上は出るというが、あくまでも現状の値ではある。

トランスミッションは6速MTのみで、ATの用意はない。重量を軽くし、運転の楽しさを引き出すためだ。4輪駆動で、トルクはすべてのタイヤへと伝えられる。

トヨタGRヤリス・プロトタイプ
トヨタGRヤリス・プロトタイプ

このGRヤリスの4輪駆動システムは、重すぎるという理由で、今どきでは珍しくセンターデフを備えていない。そのかわりリアデフの手前側に高性能なカップリングを備え、トルク制御を行う。

ドライバーは前後のトルク配分を3段階から選択できる。ノーマルはフロント60%でリア40%。スポーツでは30:70、トラックでは50:50となる。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式だが、リアはダブルウイッシュボーン式。標準のヤリスはトーションビーム式となっている。

多くのホットハッチ・ライバルと異なり、車高調整機能は備わらない。これも車重を軽くするため。ブレーキはフロントが18インチの4ポッド・キャリパーで、リアが16インチの2ポッド・キャリパーとかなり大きい。

ブランクのあったトヨタはハイパフォーマンス・モデルの開発手法を再習得する必要があり、GRヤリスの開発ドライバーの育成にも時間がかかったそうだ。3名の2018年のWRCドライバーも含めて。

ラリードライバーが望むであろう仕上がり

「最初のクルマはプロトタイプで、ラリードライバーですら制御できませんでした。技術を適正に理解する必要があると、上層部から指示を受けました」 と斎藤は楽しそうに振り返る。

ありがたいことに、豊田章男社長からの指示はずっと以前に解決している様子。AUTOCARはポルトガルのエストリル・サーキットと周辺の一般道で、GRヤリス・プロトタイプの試乗を許されたのだから。

トヨタGRヤリス・プロトタイプ
トヨタGRヤリス・プロトタイプ

GRヤリスは、アグレッシブなスタイリングを備えた、4輪駆動のホットハッチに期待する過剰な過激さは薄い。どちらかといえば、適度に民主化されていると思えるほど。

1.6Lターボエンジンは、普通に運転している限りは静かで落ち着いている。サスペンションは引き締められているが、例えばヒュンダイi30 Nと比べても、凹凸の目立つ路面では柔軟性を感じる。

しかしパフォーマンスは高い。可能性を解き放てるサーキットでは、3気筒エンジンはレスポンシブでトルクが太く、力強い。圧倒的な音量ではないにしろ、サウンドも好印象。大きく膨らんだボディワークは別として、GRヤリスが信念としたところはレス・イズ・モア。

トヨタは具体的なスペックを明らかにしてはいないが、軽量なボディと充分なトラクションを獲得し、操縦性はとても機敏でダイレクト。直感的に操作できるうえに挙動はニュートラルで、不安感がない。ラリードライバーが望むであろう仕上がりを体現している。

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