【あなたにもチャンスあり?】フォーミュラ1 eスポーツ・シリーズを体験 リアルとバーチャル、垣根は小さく

公開 : 2020.02.09 18:50  更新 : 2021.07.12 18:32

本物のスキル

オプメールはeスポーツが大きなチャンスをもたらすものであり、F1こそが取り組むべきシリーズだと考えている。

「現時点ではこのシリーズが世界最大のレーシングゲームの大会です。これほど多くの自動車メーカーが関与しているというだけで、実際のレース参戦へと繋がるチャンスがあるのです」

ルノーが誇るスタドライバー、オプメールには実際のレース経験がある。
ルノーが誇るスタドライバー、オプメールには実際のレース経験がある。

一方でeスポーツはモータースポーツの入り口として、カートの代わりにはならないという意見もある。

「モータースポーツに必ず付き物の危険がないからです」と、フォーミュラ3のドライバーであり、ルノー・アカデミーに参加しているマックス・フュートレルは言う。

「クラッシュしてもその結果は同じではありません。カートではまったく事情が異なります。ダウンフォースを頼りにグリップを感じつつ、コーナーではどういったドライビングが必要かを考える必要があるのです」

いまのところルノーF1におけるダニエル・ルカルドのシートが脅かされることはないだろう。

それでも、本物のF1も2030年までを目標に「ネット・ゼロ・エミッション」を達成するという野心的な持続可能性のゴールを掲げており、eスポーツでは運営に掛かるコストや環境負荷がはるかに少ないことを考えれば、このバーチャルのF1がすぐに無くなることはないだろう。

だが、ファンにとって重要なのは、レースが観て楽しめるものであるかどうかだ。

スクリーン上で展開されるバーチャルのF1レースは、実際のレースほどの興奮を呼び起こすことができるだろうか?

「ほとんどがTV中継でF1を観戦していることを忘れないでください」と、ルノーF1のリザーブドライバー、ジャック・エイトケンは言う。

「先入観に囚われなければ、eスポーツのレースも非常に見応えがあります。マシンはイコールコンディションであり、ドライバーたちも非常に優れています。そこには本物のスキルが存在するのです」

番外編:バーチャルマシンとテレメトリー

F1ゲームは完全なシミュレーションというわけではないが、それでもその作り込みは驚異的なレベルに達している。

プレイヤーが試すことの出来るセッティングは1兆通り以上であり、すべてのマシンで200以上のデータ測定が行われ、ルノーF1のITスタッフによって分析されている。

オプメールに挑戦するにはどれほどの速さが必要かを思い知らされる英国版AUTOCARスタッフ
オプメールに挑戦するにはどれほどの速さが必要かを思い知らされる英国版AUTOCARスタッフ

1回のレースにおける現場スタッフの数が制限される現代のF1では必須のオペレーションセンターは、グランプリの週末には多忙を極めるに違いないが、いまはeスポーツのリプレイ画像を分析するというもうひとつの任務をこなしている。

「eスポーツはチームのシーズン中の活動に影響を与えることなく、われわれの持つテクノロジーを活用する機会を与えてくれます」と、ルノーF1でITマネージャーを務めるベン・ハンプシャーは話す。

「実際のF1マシンと同じように、スロットルやブレーキの調整を行うためテレメトリーを活用しています」

いまのところ分析が行われるのはレース終了後だが、来年からプレイヤーは無線を通じてリアルタイムの情報を得ることが出来るようになる。

「2020年に向けて、エンジニアたちには実際のレースと同じようにeスポーツにも取り組んで欲しいと話しています」と、ハンプシャーは言う。

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