中国ブランドに対抗 シトロエン、強い個性とスピード感重視 ライバルから得た「重要な学び」とは

公開 : 2026.04.29 17:05

シトロエンは欧州で台頭する中国ブランドに対抗するため、自社の伝統と個性的なデザインを打ち出す方針です。「すべての人が先進技術を求めているわけではない」とCEOは述べ、独自のデザインを成長計画の核に据えています。

グローバル販売は躍進

シトロエンは、中国のライバルに対抗するために自社の歴史と伝統を活かし、より個性的なモデルを投入する方針だ。同時に、新興メーカーから学び、より迅速かつ効率的な開発手法を習得しようとしている。

現在のSUV中心のラインナップと価格競争力を重視したポジショニングは、本拠地である欧州において、オモダ、ジェイクー、吉利汽車(ジーリー)、長安汽車といった中国ブランドの台頭に対し、「老舗」ブランドの中でも特に影響を受けやすい。

昨年12月に公開されたELOコンセプト
昨年12月に公開されたELOコンセプト

しかし、CEOのグザヴィエ・シャルドン氏は、ブランド独自の強みと顧客ニーズへの徹底したこだわりが、市場シェアの維持と拡大につながると確信している。

シトロエンは2026年第1四半期の世界全体の販売実績として、前年同期比10%増の19万台(英国では118%増)と発表した。シャルドン氏は英国の記者団に対し、欧州における一部の中国ブランドの急速な成長を認めつつも、それがシトロエンの成長計画に影響を与えるとは考えていないと述べた。

現状に満足せず成長加速へ

「中国メーカーが欧州で拡大していることは認識しています。英国の第1四半期では、オモダやその他のブランドが驚くべき躍進を遂げました」とシャルドン氏は述べた。

オモダは奇瑞汽車傘下のブランドで、兄弟ブランドであるジェイクーとともに好調な販売を見せている。

シトロエンのグザヴィエ・シャルドンCEO
シトロエンのグザヴィエ・シャルドンCEO

「しかし、それがシトロエンの市場シェア拡大を阻むことはありません。中国メーカーの存在にもかかわらず、シトロエンは拡大を続けています」

2026年に入ってからの欧州におけるシトロエンの販売台数が12%増加したが、その主な理由は過去1年間で全面刷新された主力モデルラインナップの魅力だという。また、新規参入ブランドの市場シェア拡大にもかかわらず、この「好調な勢い」をさらに「加速」させ、来年も成長を続けていく計画だと述べた。

「わたし達は欧州における日本メーカーの進出、続いて韓国メーカーの進出に直面してきました。今は中国メーカーの台頭がみられます。彼らは特にプラグインハイブリッド車(PHEV)やEVにおいて非常に強力なモデルを投入してきています。だからこそ、わたし達はより積極的に行動し、安住の地から抜け出し、お客様の期待に沿った製品を提供していく必要があるのです」

シトロエンが持つ強み

シャルドン氏は、市場での地位を確固たるものにするため、欧州での107年にわたる自動車販売の歴史をより強く活かすと述べた。独自の新しいデザイン言語を導入し、現地の顧客ニーズに細かくマッチするよう、車両のパッケージングとエンジニアリングを徹底するという。

「中国メーカーとは異なる道を歩んでいると思います。まず、シトロエンには伝統があり、それを活かしたい。第二に、『賢く、思いやりのある』存在でありたいと考えています。すべてのお客様がますます多くのテクノロジーを求めているとは考えていません。だからこそ、現在のシトロエン車や将来のモデルにおいても、至る所に複数のスクリーンを配置することはないでしょう」

昨年12月に公開されたELOコンセプト
昨年12月に公開されたELOコンセプト

「また、0-100km/hの加速性能を追求することにも、それほど関心はありません。それはシトロエンの領域ではありませんし、そうした要素を求めるお客様は、シトロエンは買わないでしょう。シトロエンは万人を満足させようとしているのではなく、お客様とのつながりをシンプルにしたいと考えています。シトロエンが提供するのは、広さ、快適さ、そして安心感です」

この顧客中心のアプローチは、個性的なインテリアデザインにも表れる。特に大型タッチスクリーンを中心に据え、物理的な操作系を最小限に抑えたミニマルなダッシュボードを特徴とする中国車との差別化要因になるという。

「ここ数か月、わたしは中国に何度も足を運びました。車内に座って目を閉じたり、ロゴを取り除いたりすれば、どのダッシュボードも同じように見えます。シトロエンは、異なる提案ができると強く信じています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事