マセラティGT2ストラダーレ&MCプーラ・チェロ(前編) 伝説のスーパースポーツ『MC12』の鮮烈な記憶

公開 : 2026.04.30 11:45

マセラティの最新スーパースポーツ、『GT2ストラダーレ』と『MCプーラ・チェロ』をスーパーカー超王こと山崎元裕が試乗します。V6ツインターボ、カーボンモノコックなど、まさにプーラ(=純粋)の名に相応しいプロフィールです。

あのエンツォ・フェラーリときょうだい車

マセラティが新たに市場へと放った、ミドシップスーパースポーツのステアリングを握ることができる。こう考えた瞬間に、筆者は心臓の鼓動が確かに強まったことを感じた。

個人的にまずその姿をイメージするのは2004年に30台、翌2005年には25台を生産し、実際には50台がデリバリーされた『MC12』だ。あのエンツォ・フェラーリときょうだい車の関係にあたるこのモデルを、クローズドコース内で、きわめて短い時間ではあるがドライブした時の感動は、現在でも鮮烈な記憶として心の中に残っている。

マセラティ・コルセ=MCの名を持つ2台。左がMC20、右がMC12。
マセラティ・コルセ=MCの名を持つ2台。左がMC20、右がMC12。    マセラティ

このMC12というネーミングに掲げられるMCは『マセラティ・コルセ』、すなわちマセラティ・レーシングを意味するものだ。それが物語るように、マセラティは最初からMC12をレースに参戦させるプランを打ち出しており、2004年には当時のFIA GT選手権のGT1クラスに、『MC12GT1』を投入。

2006年にはシーズンタイトルを獲得するなど、その存在感を世界に知らしめた。同年にはそれを記念して、サーキット専用車の『MC12ベルジオーネ・コルセ』も12台が限定生産されている。

MC12は、マセラティというブランドが生み出した、現在でも史上最強のスーパースポーツと評されるモデルだった。

2020年はマセラティ新時代の始まり

そのMCの称号が復活を遂げたのは2020年のことだった。

マセラティはこの年を新時代の始まりと定義し、その意味を込めて『MC20』の名を、搭載エンジンを始めすべてを自社開発とした、新型ミドシップスーパースポーツに与えたのだ。

今年はマセラティ・コルセ創設100周年。写真はオートモビルカウンシル2026の展示。
今年はマセラティ・コルセ創設100周年。写真はオートモビルカウンシル2026の展示。    山田真人

そしてこのMC20にもまた、さまざまな派生モデルが誕生していく。2022年にラインナップに追加設定されたオープン仕様の『チェロ』や、同年にSRO GT2規定に基づいて製作されたレース仕様の『GT2』などはその代表的な例であり、後者は2023年からGT2ヨーロピアンシリーズへの参戦を実現している。

今回試乗したマセラティの最新作は、このGT2のロードバージョンとして2023年に発表された『GT2ストラダーレ』と、2025年にそれまでのMC20のさらなる進化型として登場した『MCプーラ』の両車となる。

ちなみにMCプーラが発表された2025年は、マセラティが創業111周年を迎えた年であり、また今年はマセラティ・コルセが創設されてから、つまりマセラティがレースの世界に進出して100周年という特別な年にもあたる。

このタイミングで最新のミドシップスーパースポーツ・マセラティをドライブできることにも特別な感情を抱かずにはいられない。まずはそのアピアランスからして、スパルタンな雰囲気に満ち溢れる、GT2ストラダーレからレポートを始めよう。

*マセラティGT2ストラダーレ&MCプーラ・チェロ(中編)に続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

マセラティGT2ストラダーレ&MCプーラ・チェロの前後関係

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