【新基準となるか?】VW Tクロス(T-Cross)試乗 新コンパクトSUVの価格/サイズ/諸元を評価

公開 : 2020.02.11 11:20  更新 : 2021.12.28 00:09

フォルクスワーゲン「Tクロス」を日本で試乗。ポロをベースとしたVWの“最小”SUVです。その走りには、GTI的な味つけも。

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

商品説明によると「T」が「小さい」と解釈できる、英語ならばタイニィ(tiny)か、とも思ったのだが、「T」にとくに意味はないそうだ。SUVは頭文字を「T」とするVWのこだわりに則したとのこと。

車名の由来はともかく、「小さい」はTクロスにとって重要である。

VW TクロスTSIファースト・プラス
VW TクロスTSIファースト・プラス

プラットフォームも含めてハードウェアの構成はポロをベースとする。車体平面寸法は、全長が55mm、全幅が10mm拡大されるが、ホイールベースは共通。全高を除けば艤装レベルのサイズ差しかない(Tクロスの全長×全幅×全高:4115×1760×1580mm)。

全高は130mm増。ルーフレールや増加した最低地上高を除いても、室内高は50mm以上拡大した考えられる。外観を見れば瞭然だが、プロポーションは大きく変化した。この辺りはポロのボディシェルを用いてSUV側にシフトしたクロス・ポロと異なる部分だ。

実際に乗り込んだ印象でもポロよりキャビンが一回り大きくなったように思えた。

内装 持ち味は見晴らし性

高いアイポイントと傾斜の減少したフロントウインドウにより前席からの見晴らしも向上しているが、その変化は後席のほうが大きい。

膝前スペースはポロから大きく変化していないものの、天井の圧迫感の減少やサイドウインドウからの見晴らしの向上で開放感が高まっている。クロスオーバーSUVであるとともに、見晴らしが魅力の高アイポイント車でもある。

VW TクロスTSIファースト・プラスのコクピット
VW TクロスTSIファースト・プラスのコクピット

SUVとして注意しなければならないのは駆動方式。2WD(FF)に限定される。

ベースとなったポロに4WD車がラインナップされず、4WDが必須となる用途までは想定していないとのこと。もっとも、下回りがしっかりしていればFFでもかなりの踏破性を期待できるが、その目安となる最低地上高は未発表。

VWの方針らしいが、仕方がないので床下を覗いてみると、主構造部では180mmくらいはありそう。大径タイヤの装着による拡大代は15mmくらいなので、サス設定は悪路対応したTクロス専用なのだ。

ポロから“進化”した点

今回の試乗では悪路走破性を試すことはできなかったが、泥濘でもなければ多少荒れたダート路くらいはそう困難はないだろう。同時にそれは一般的なアウトドアレジャー用途に十分なことを示す。

どちらの視点でも少々中途半端な感は否めないのだが、レジャードライブの楽しみを向上させるのは間違いなく、SUVブームに乗ったわけでもなく、実用性や居心地の方向でポロから進化したモデルと捉えるには十分。

VW TクロスTSIファースト・プラス
VW TクロスTSIファースト・プラス

生活の楽しみを拡げる小さくて便利なクルマ、言い方を換えるなら新しいスタンダードの提案である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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