ポルシェ911ターボS

公開 : 2013.08.27 20:00  更新 : 2017.05.29 19:05

■どんなクルマ?

ポルシェ911ターボSは、これまでにポルシェが生み出した中で最速の加速を持つモデルだ。3.1秒という0-100km/hのタイムは、ライバルのフェラーリ458イタリアよりも速い。そして、0-200km/h加速は10.1秒という数値だ。

新しい911ターボSは、前モデルと同じ3.8ℓツインターボ・フラット6ユニットを改良した552bhpエンジンを搭載する。この値は、来月英国で発売される911ターボよりも30bhp多く、旧い911ターボSよりも29bhp大きい値だ。

トルクも向上している。911ターボよりも4.2kg-m大きく、旧911ターボSよりも1.0kg-m大きい71.3kg-mを2100rpmから4250rpmの間で発揮する。このトルクは、ターボ・プレッシャーを1.2barから1.4barに挙げることによって、瞬間的に76.5kg-mにまでアップする。

重要な変更点は、ギアボックスが7速のデュアル・クラッチのみとなったことだ。このギアボックスは3つのモードを持つ。スタンダードとスポーツ、そしてスポーツ・プラスだ。また、その4WDシステムも、マルチ・プレート・クラッチは、旧い911ターボSのハイドロリック専用から電子制御ハイドロリックに変更されている。

911ターボSを購入しようとするユーザーであれば、あまり燃費のことを気にしないかもしれない。しかし、7km/hで作動するアイドリング・ストップが装備されている。燃費は10.3km/ℓと1.5km/ℓhほど向上した。また、CO2排気量は268g/kmから227g/kmに向上している。

最新の911のように911ターボSもサイズ・アップしている。全長は56mm、全幅は28mm、全高は3mm、それぞれ大きくなっている。最新の911カレラ4Sよりも、フロントは28mm、リアは85m拡大している。

スタイルは古典的なターボの造形がされている。ユニークなシェイプのバンパーや、ワイドなサイドシル、120km/hで自動的にアップするリア・ウイングなどだ。また、フロントが245/35R20に8.5インチ、リアが305/30R20に11.0インチのタイヤ、ホイールが組み合わせられる。ホイールはセンターロックだ。ボディはアルミニウムが多用された結果、重さは20kg増の1650kgに収まっている。この結果、344bhp/1tと、1tにつき14bhp以上の向上となっている。

■どんな感じ?

スペックから想像するほどポルシェ911ターボSを手に汗握るようなことではない。確かに、このクルマはあなたがかつて味わったことのないような、2つの地点を最速で結ぶクルマだ。しかし、その驚くべきパフォーマンスを手軽に味わうことが可能なのだ。

今回テストコースに選んだのは、シュツットガルトの郊外の丘と、速度無制限のアウトバーンだ。これは、最近911GT3をテストしたのと同じコースだ。

ファースト・インプレッションは、旧モデルよりもナチュラルなハンドリングを持ち、ボディ・ロールが少なく、機敏な動きをするということだ。強大なレベルのグリップと、コーナーからの立ち上がりのスロットル・オンで驚くべきトラクションを見せてくれるのだ。次のコーナーの頂点に向かう際の、限界を感じさせないそのパフォーマンスと、ダイナミックな力量、そしてナチュラルなフィーリングは、”楽勝”とでも例えられるかもしれない。シリアスなコーナーを速いスピードで駆け抜けることのできる能力は、単純に衝撃的と言える。おそらくそのレベルはRWDの兄弟モデルよりも明らかに高いところにある。

他のポルシェ911(991)の変化同様、シャシーは一審されている。ホイールベースは100mm長い2450mmとなり、フロント・トレッドは49mm広い1539mmに、リアは42mm広い1590mmとなった。

スタビリティ・コントロールとロッキング・ディファレンシャルを含むスイッチ切り替えが可能なPTM(ポルシェ・トラクション・マネジメント)、2ステップの可変ダンパー・コントロールが可能なPSAM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント)、油圧のアンチロールバーとコーナーでのボディの動きを軽減するPDCC(ポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール)が、スポーツ・クロノ・パッケージとして装備されている。このパッケージは911ターボSでは標準となる。このPTMは、ドライでもウェットでも、余分な電子制御の干渉を抜きに高いレベルのコーナリングを可能とする。そして、本当に最後の最後になって、粘り強いグリップが必要な時のみに、極く自然に作動するというものだ。これらのオプションは、ハードなアタックを行っている際の、最後のセーフティとしても使われることになる。

PTMをオフにしない限り、オーバーステアになることはない。しかし、一旦、PTMのスイッチをオフにすれば、もちろんオーバーステアに持ち込むことも可能だ。しかし、それにはコントロールするだけの腕が必要となる。最も、その際も4WDシステムの素早い反応が、機敏な操作を可能としてくれる。

ステアリングは、最高水準と言える。フロントのエレクトロ・メカニカル・システムは、他の911と共通だ。しかし、911GT3のようにリア・ホイール・ステア・システムが装備される。60km/h以下では逆位相にステアして低速での機敏さを増し、80km/h以上では同位相となり安定性を増すことになる。ダイレクトを増し、ステアリングの重さを一させて、落ち着いたフィーリングをもたらす。しかし、その一方で、電子制御の油圧システムは、旧い油圧システムに感触やフィードバックという面では敵わないというのも事実だ。

また、乗り心地についても若干の問題がある。2ステップのダンパーの違いが明確過ぎるのだ。

ブレーキは、オーバースペックとも思えるもの。スポーツ・クロノ・パッケージの一部として採用されるフロントが410mm、リアが390mmというサイズのカーボン・セラミック・ブレーキは、フロント6ポッド、リア4ポットのキャリパーと組み合わせられ、その効きは強力そのものだ。

エンジンは、エンジニアの仕事の巧みさが表現されているもので、非常に魅力的だ。しかし、イニシャル・レスポンスは最近のスーパー・スポーツほどでもない。というのも、低下回転域でのツイン・ターボのターボ・ラグが感じされるからだ。とはいうものの、標準の1.2barから0.2barほどブースト・アップした時の巨大なパワーは素晴らしいものがある。高いギアではそれほど残忍さはないが、低いギアでの一気に吹け上がる光景は異様な感触だ。フェラーリ458イタリアの自然吸気の4.5ℓのV8と同じぐらいの回転の上昇が感じられる。もちろん、レブ・リミットはフェラーリの9000rpmに対して7200rpmと低いが、トルクが強大あるため、そのトップ・エンドはさして重要性を感じない。

3桁のmphを超える辺りでの安定性も向上している。長いホイールベースと広げられたトレッドが影響しているようだ。旧911ターボSで見られた、比較的幅の狭いトレッドとその軽量なボディからくる高速でのふらつきが全く感じられないのだ。3ステージのフロント・スポイラーと、3ステップのリア・ウイングは確実にダウンフォースのレベルを改善している。ダウンフォースが132kg高くなったとされるエアロダイナミクスに優れたボディは、速度無制限のアウトバーン上の319km/hのトップ・スピードでも著しく安定していたのだった。

■「買い」か?

より大きく広く、強力で、速く、高速での高い安定性を持ち、しかも機敏でドライブしやすいクルマだ。新しい911ターボSはわれわれが予想したとおりのモデルだった。しかも、日常の足としてはフェラーリ458イタリアよりもずっと現実的だ。技術的にも優れているように感じる。現在、生産されているスポーツカーの中でも、最速とも言えるパフォーマンスを持っている。

しかし、フェラーリをドライブするような興奮させる何かが足りないのも事実だ。確かに、そのような興奮は必要ないのかもしれないが… …。

(グレッグ・ケーブル)

ポルシェ911ターボS

価格 £140.852(2,165万円)
最高速度 319km/h
0-100km/h加速 3.1秒
燃費 10.3km/ℓ
CO2排出量 227g/km
乾燥重量 1605kg
エンジン 水平対向6気筒3800ccツインターボ
最高出力 552bhp/6500rpm
最大トルク 71.3kg-m/2100rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

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