【冬がおススメ?】ボクスターで行くノースコースト500 素晴らしき冒険行 後編

公開 : 2020.03.29 18:50

ようやく冬タイヤに不満

荒涼とした北の海岸線にはしばしば素晴らしい景色が広がっていることは分かっていたが、暗闇のなかでは諦めるしかなかった。

サーソーは決して派手な街ではないが、われわれに必要なものはすべてが揃っている。つまり、夕食とベッド、翌朝の朝食と、ボクスターに必要なオクタン価98のガソリンだ。

サーソーの街は食事とガソリンを用意してすべてのひとを暖かく迎え入れる。
サーソーの街は食事とガソリンを用意してすべてのひとを暖かく迎え入れる。

夜明け前に出発して、公式にはNC500ではないが、十分訪れる価値のある場所へと向かっていた。

その場所とはダンネット・ヘッドであり、A836号線から約8kmの距離にあるこの場所は、イギリス本島最北端であり、わたしが知るなかでもっとも荒涼とした美しい光景のひとつだ。

寒々とした木曜の朝早く無人の灯台へと辿り着いたが、目の前にはオークニー諸島へと続く荒涼とした海の上に雄大な空が広がっていた。

景色の迫力ではやや劣るものの、イギリス本島最西端のランズ・エンドからさらに遠いという理由でダンネット・ヘッドよりも有名なジョン・オ・グローツでも少し停車している。

この結果、A99号線とA9号線で構成されるNC500で東海岸を南下しながら、インヴァネスまではわずかな時間で戻らなければならなくなった。

依然として美しいが昨日と比べれば魅力に欠けた景色のなか、道路幅は広く視界は開け、われわれのペースも上がっていた。

ペースが上がり負荷が増したことで、わずかながらも初めて冬用タイヤに不満を感じることとなった。

素晴らしい冒険

間違いなくこのタイヤはボクスターの優れたステアリングレスポンスをスポイルしている。

さらに、ここでは連なって走行する木材トラックが、ボクスターの追い越し能力を試す良い機会を与えてくれた。

役目を終えたオイルリグがNC500の終わりを告げる。
役目を終えたオイルリグがNC500の終わりを告げる。

美しいとは言えないかも知れないが、最後の停車地となったインバーゴードンでは、スクラップを待つ数十機のオイルリグが並ぶ、クロマーティ・ファースの印象的な光景を目にすることができた。

スコットランドのエネルギー産業は急激に変化しており、はるか北には欧州最大のオフショア風力発電所の姿を目にすることが出来た。

次回のチャレンジは地元産の電力で充電可能なEVを使うことになるのかも知れない。

インヴァネスへと続く壮大なケソック橋が作り出す影が、この旅の最後に相応しい撮影スポットの様に思えたが、ボクスターのボディサイドは融雪剤で汚れたままだった。

荒れた天候のせいで本来のパフォーマンスやダイナミクス性能を発揮する機会を失ったボクスターTは今回の旅に相応しい選択ではなかったかも知れないが、それでも自らに与えられた役目を見事に果たして見せたのであり、激しい雨もこのクルマを停めることなど出来ないことを証明している。

決して最高のNC500ドライブではなく、楽しかったなどとは言えないが、それでも素晴らしい冒険だったことに間違いはない。

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