世界最強の内燃エンジンSUVスペック! アストン マーティン『DBX』がSモデルに進化 違和感は賛辞へと昇華【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.06.16 11:45

アストン マーティンのSUV『DBX』がSへ進化。900Nmの最大トルクに加え、727psとなった最高出力は内燃エンジンのみを使用するSUVとしては世界最強の数字です。スーパーカー超王こと山崎元裕が解説します。

伝統を受け継いだグランツーリスモ

アストン マーティンが史上初のSUVを、『DBX』のネーミングを掲げて発表したのは2019年だった。個人的にはこの時、アストン マーティンまでもがSUV市場へと参入したことに対して、少なからず違和感を抱いたのは事実だ。

しかし、実際にドライブした瞬間、その考えには大きな変化が生まれた。DBXはSUVのスタイルを採用した、これまでのアストン マーティンの伝統を確かに受け継いだスポーツカーであり、GT(グランツーリスモ)であったからだ。

アストン マーティン史上初のSUV『DBX』に追加されたSモデル。
アストン マーティン史上初のSUV『DBX』に追加されたSモデル。    平井大介

メルセデスAMGから供給される3982ccのV型8気筒ツインターボエンジンを、550psの最高出力と700Nmの最大トルクで搭載することで始まったDBX。2022年には707ps、900Nmのスペックを誇る高性能版の『DBX 707』がラインナップに追加されているが、アストン マーティンはさらなる進化の可能性を残していた。

それこそがここで紹介する『DBX S』だ。早速その印象をレポートしていこう。

エクステリアで様々な差別化

基本的なシルエットこそDBX、あるいはDBX 707に共通するものの、最新作のDBX Sではエクステリアで様々な差別化を図っている。

ダークカラーでダブルベーンのオールメタルグリルが標準装備となるフロントは、オプションでグロスブラックのハニカム構造グリルを選択することも可能。試乗車には後者が組み合わされ、よりスポーティで力強いルックスが生まれることになった。

基本的なシルエットはベースモデルと共通だが、エクステリアで様々な差別化を図っている。
基本的なシルエットはベースモデルと共通だが、エクステリアで様々な差別化を図っている。    平井大介

サイドシルはボディサイドのエアフローをより最適化した専用デザイン。フロントフェンダー後部には『S』バッジがフィットされる。

リアセクションで『S』であることを主張するのは、4本出しのエキゾーストフィニッシャーと、こちらも新たにデザインされたディフューザーやロワウイングといったアイテム。

さらにルーフはグラスパネルが標準となるが、オプションではそれに対して18kgも軽量なカーボン製ルーフを選ぶこともできる。それが重心高の低下に大きく貢献することは言うまでもない。

コーナリング時の動きは極めてナチュラル

全長5039mm、全幅1998mm、全高1680mmというボディサイズを持ち、車両総重量では3000kgにも迫る数字がスペックシートに示されるDBX S。

搭載されるエンジンは、900Nmの最大トルクに変化はないものの、最高出力を727psにまで高めたもので、これは内燃エンジンのみを使用したSUVとしては世界最強の数字になる。これに組み合わせられるミッションは9速AT、駆動方式はアクティブセンターデフを備える4WDだ。

エンジンは900Nmの最大トルクに変化はないものの、最高出力を727psにまで高めた。
エンジンは900Nmの最大トルクに変化はないものの、最高出力を727psにまで高めた。    平井大介

オプションのカーボン製ルーフが装備されていたことも少なからず影響しているのだろう、実際にDBX Sをドライブして感じたのは、コーナリング時の動きが極めてナチュラルかつ安定していたことだった。

SUVのスタイルであるから当然ながらシートポジションはもちろん、重心高は決して低い位置にはないはずだが、ステアリングを切り込んでから発生するロールの大きさや速度が実に巧みにチューニングされている。

さらに前:後で47:53を基本設定として、ここからシチュエーションによっては100%の駆動力を後輪に伝達することができる4WDシステムの制御が、コーナリング時はもちろん、高速走行時でも絶対的なスタビリティを感じさせる大きな理由となっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王(超王)」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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