【サンタアガタを味わい尽くす】ランボルギーニ・ウラカン・エボRWD 英国試乗

公開 : 2020.04.16 10:20

ドライバーとの関係性が1番濃密なモデルといえる、ウラカン・エボRWDが登場。ランボルギーニとして最高のドライビングを楽しめるマシンは、フェラーリを超えることはできるのでしょうか。英国で評価しました。

最も手に届きやすい場所にあるウラカン

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ランボルギーニは以前から、エントリーモデルのスーパーカーへ最も甘美な派生モデルを設定することを好んできた。

2009年にさかのぼれば、高い支持を集めたガヤルドLP550-2バルボーニがある。オリジナルのベビーランボ、ガヤルドが登場してから6年後に登場した、スペシャルモデルだ。

ランボルギーニ・ウラカン・エボRWD(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・エボRWD(英国仕様)

続いて登場したウラカンLP610-4と、だいぶ磨き込まれたウラカンLP580-2との間には、2年ほどの差しかない。最近、熱量の高いドライバーを悩ませるタネでもある。

先ごろ大幅に刷新を受けたウラカン・エボとして、クーペとスパイダーがリリースされたばかり。ところが早速ランボルギーニは、最新の宝刀を発表した。ウラカン・エボRWDだ。

従来までは「2」という数字で示されていたが、新しいウラカン・エボは名称の通り後輪駆動。しかもこのウラカンは、最も手に届きやすい場所にある。4輪駆動の通常のエボより、3万4000ポンド(459万円)も安いのだ。

ウラカン・エボRWDの英国価格は、16万4400ポンド(2219万円)。マクラーレン570Sの14万9000ポンド(2011万円)と、フェラーリF8トリブートの20万3500ポンド(2747万円)の間に位置する。

悪くない値段に思える。沢山のプションが用意されているから、あくまでもスターティング・プライスだけれど。

エンジンを外から眺めることができる、トランスペアレント・カバーは4860ポンド(65万円)。コンポジット・ブレーキディスクは5412ポンド(73万円)。デジタルラジオを付けるだけでも648ポンド(9万円)ほど必要となる。

聞きたくなるトップエンドでの咆哮

今回の試乗車の価格は、それらのオプションを上乗せして22万3000ポンド(3010万円)なり。

ウラカン・エボRWDが失ったのは、フロントタイヤを駆動するドライブシャフトだけではない。標準のエボには採用される4輪操舵システムと、かなり効果的に機能するトルクベクタリング・システムも省かれている。

ランボルギーニ・ウラカン・エボRWD(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・エボRWD(英国仕様)

車重はそのかわり33kg軽く納まる。美声を奏でる5.2LのV10エンジンからは、29psが引かれている。それ以外の部分は、チタン製のバルブなども含めて、ウラカン・ペルフォマンテから引き継いでいる。

最高出力のダウン幅は小さい。値の張る4輪駆動のウラカン・エボへ、スペックを気にするドライバーを誘導するために設けられた、差別化だろう。

ウラカン・エボRWDの最高出力は610psで、最大トルクは56.9kg-m。0-100km/h加速は、通常のエボは2.9秒だが、エボRWDも3.3秒でこなす。筆者も含めて、これだけあれば不満は感じないはず。

ウラカン・エボRWDは優れたドライバーズカーではある。だが、MRというレイアウトを享受するには、時間をかけて走り込む必要がある。

電子制御のシステムをすべてオフにすることで、好戦的なボディの内側に秘めた能力を完全に引き出せるようになる。サウンドも運動性能も非常に極めが細かく、乾燥した路面であれば、4輪駆動がなくてもトラクションにも不満はない。

エボRWDを走らせれば、ついV10エンジンのトップエンドで放たれる咆哮を聞かずにはいられない。大排気量の自然吸気エンジンは、4000rpmであっても暴力的に凄まじい。回転数が増すほどに、興奮も高まっていく。

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