【スーパーカー超王が斬る】ランボルギーニ・ウラカンとは何だったのか?最後に乗ったSTOのコクピットで思ったこと

公開 : 2025.08.20 11:45

V10NAとして約10年生産されたランボルギーニ・ウラカン。その市場はV8ツインターボ+3モーターのテメラリオが引き継いでいます。恐らくは最後となるウラカン試乗を通じ、スーパーカー超王こと山崎元裕がその魅力語ります。

前年同時期比で増加した上半期の販売台数

ランボルギーニのセールスは相変わらず好調なようだ。

先日同社から発表されたデータによれば、2025年上半期における総販売台数は5681台。この数字は2024年の同期比で2%の増加に相当するもので、売上高の16億2000万ユーロも、同様の比較ではほぼ同水準となるもの。

モデルライフを終えたランボルギーニ・ウラカンのSTOに山崎元裕が試乗。
モデルライフを終えたランボルギーニ・ウラカンのSTOに山崎元裕が試乗。    平井大介

それが達成された大きな理由には、V12ミドシップPHEVの『レヴエルト』や、スーパースポーツSUVの『ウルス』に追加設定された、やはりPHEVモデルの『ウルスSE』が高く評価されたことがあげられる。

さらに2025年下半期には『ウラカン』の後継車として誕生した、V8ミッドシップPHEVというパワーユニットの基本設計を採用する『テメラリオ』の本格的な生産も始まる予定だから、これら一連の新車効果によってランボルギーニがより大きな成功を収めることは確実なところだろう。

だがここで改めて考えてみたいのは、テメラリオの前作にあたるウラカンというモデルの存在だ。なぜならウラカンに搭載されたエンジンは、5.2Lという大排気量のV型10気筒自然吸気。テメラリオが4LのV型8気筒ツインターボエンジンと3基のエレクトリックモーターで構成されるモデルであることを考えれば、それは極めてシンプルなパワーユニットといえるの。

しかしランボルギーニ・ファンの中からは、ウラカンの持つピュアなスーパースポーツとしてのキャラクターを高く支持する声も多く聞かれる。

果たしてウラカンというモデルが持つ魅力とは、どのようなものだったのか。今回はそれを探るために、ウラカンの究極作ともいえる1台を持ち出し、実際にそのステアリングを握ってみることにした。

STOは最もスパルタンな仕様

ウラカンは、2014年から2024年にかけて生産が行われたモデルである。今回ドライブしてみたのは、一連のウラカン・シリーズの中でも最もスパルタンな仕様のひとつともいえる『ランボルギーニ・ウラカンSTO』だ。

2022年に発表されたこのモデルは、STO(=スーパー・トロフェオ・オモロガータ)という称号が物語るとおり、世界最速のワンメイクレースとも評される『ランボルギーニ・スーパートロフェオ』用の車両が持つパフォーマンスを、オンロードでもカスタマーに提供するために企画されたもの。

STOはスーパー・トロフェオ・オモロガータの略。ワンメイクレース『ランボルギーニ・スーパートロフェオ』に由来する。
STOはスーパー・トロフェオ・オモロガータの略。ワンメイクレース『ランボルギーニ・スーパートロフェオ』に由来する。    平井大介

ミドシップに搭載されるV10エンジンは、同じく2022年に発表されていたビッグマイナーチェンジ版の『EVO』から流用された640ps仕様だが、駆動方式がEVOの4WDに対して、STOではオーソドックスなRWDとなるのを受けて、最大トルクは35Nmほど控えめな565Nmに設定されているのが特徴だ。

エクステリアのフィニッシュと同様に、こちらもスパルタンな雰囲気に満ち溢れるコックピットに身を委ねてみると、これまでにドライブしてきた様々なウラカンの魅力が鮮明な記憶となって甦ってきた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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