【この時期になぜ?】レンジローバー・イヴォーク超え ジャガー初EV「Iペイス」 販売40%増の背景

公開 : 2020.04.28 05:50

「EVなのに」エモーショナル

EVというと、アクセルに対するモーターのレスポンスが良く、確かに加速はいいのだが、「なんだか無機質な感じがする」という感想を持つ人が多い。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンによる振動や音を基準とするば、EVに対して無機質とか、味気ないとか、そう思われるのは、人として自然な感覚だと思う。

ところが、Iペイスの場合、なんだかちょっと違うのだ。

ジャガーIペイスは、2019年WCOTY(ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー)の大賞、グリーンカー賞、デザイン賞を同時受賞した。
ジャガーIペイスは、2019年WCOTY(ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー)の大賞、グリーンカー賞、デザイン賞を同時受賞した。

メディア関係者は、エモーショナルという言葉で、その違いを表現することが多い。

動力性能を数値化すれば、最大出力400ps、最大トルク71.0kg-mで、0-100km/h加速が4.8秒なのだが、テスラやその他のEVと比べて、速いとかちょっと遅いとか、そういった尺度では語れない違いがあると、世界各国のメディアが言い出した。

ボディデザイン、インテリアデザイン、着座位置、前方視界、モーター音、タイヤを通じたロードノイズなど、Iペイスを構成する世界感がある、と。

こうした「玄人ウケ」が、2019年ワールド・カーオブ・ザ・イヤーなど世界各地での受賞に直結した。

メディアでの評価が初期需要を呼び、さらに実車を乗った富裕層のなかでSNSを通じて評価の声が広まった。

日本を含め、2018年度の途中から発売された国があり、2019年度と販売台数を単純比較できないともいえるが、世界的に徐々に人気の火がついたと見るべきだろう。

Iペイスの売り上げが伸びた理由がもう1つある。

ついに始まったプレミアムEV市場

別の角度から、Iペイスの売り上げが伸びた理由に、プレミアムEV市場が確立されつつある世界市場の動向がある。

EVの歴史は100年以上あり、実証試験や、少量販売、または少量リース販売などが行われたが、大手自動車メーカーの本格に大量に乗り出したのは、2010年の三菱i-MiEVと日産リーフとまだ日が浅い。

ハマーEVも参入を企んでいる。
ハマーEVも参入を企んでいる。

その後、プレミアムな大量生産型EVでは、テスラ・モデルSモデルXが市場を切り開いたが、テスラを追う動きはなかなか見えてこないなか、Iペイスが登場した。

それが2010年代後半に入ると、中国の新エネルギー車(NEV)政策や欧州グリーンディール政策などの影響が鮮明になる。

ポルシェタイカンフォードマスタング・マッハe、レクサスUX 300e、GMCハマーEVなど、プレミアムEVの量産決定や量産計画発表が相次いでいる。

こうした中で、IペイスはプレミアムEV市場のリード役の1つとなっている。

日本では、伝統のジャガーブランドとEVとの結びつきを実感している人がまだ少ないのかもしれないが、ジャガーEV戦略はまだ始まったばかり。

JLR(ジャガー・ランドローバー)は今後、プレミアムEVのリーディングカンパニーとなることを明言しており、Iペイスのさらなる改良も含めて、様々なニューEVが登場することが確実だ。

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