【すでに素晴らしいホットハッチ】新型VWゴルフGTI 開発車両の助手席へ 後編

公開 : 2020.05.17 10:20

執拗に路面を掴み続けるゴルフGTI

エーラ・レッシエン開発センターのハンドリングコースでは、シャシー・バランスや機敏な身のこなしなど、調和の取れた挙動を感じることができた。

スポーツ・モードを選んだGTIは、鮮明にコーナリングしていく。フロントタイヤのトラクションを保つべく、電子制御デフは巧みに処理を続ける。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ

タイヤのグリップ力は秀抜。路面に細かなうねりがあっても、フロントタイヤは衝撃に耐え、外へ膨らまずにラインをキープ。ドライバーは不安感なく、コーナーの頂点めがけて勢いよくクルマを向けていける。

特に細かなバンプが続く、タイトな円弧を描く厳しい区間へ侵入する。8代目GTIを運転するシェブスダットは、アクセルペダルを深く踏み込み続ける。ステアリングの角度を一定に保っているが、GTIは内側の白い白線から逸れることなく曲がっていく。

助手席の筆者は、進入時の鋭い喰らい付きから緩なる場面を伺う。だが、GTIは執拗に路面を掴み続ける。

サスペンションには横方向への遠心力だけでなく、路面からの垂直方向の複雑な力も加わっている。しかし、跳ねることもなく、アンダーステアの予兆すらない。

次のコーナーは、長く伸びる左カーブ。シェブスダットは高速で侵入し、突然アクセルペダルを戻すと、再び目一杯蹴飛ばす。リアタイヤの安定性に驚かされる。ドライバーの挑発を受けても、プロトタイプは動揺することなく先を急ぐ。

7代目から大きな進歩を遂げつつある

幅広いドライビング・モードでの、優れた姿勢制御も新しいゴルフGTIの強みの1つ。低速域でのコーナーではある程度のロールも見せるが、改良を受けたアダプティブ・ダンパーの力もあって、従来以上に穏やかで漸進的だ。

8代目ゴルフGTIのハンドリングで、全体的な落ち着きは重要視している特性。乗り心地の面でも有効となる。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ

確かに、予想通りの硬さがあるものの、オプションの18インチタイヤでも鋭さは感じられない。垂直方向の動きは良くコントロールされ、コンフォート・モードを選べば、印象的なほどのしなやかさがある。

大きなバンプを超えた直後の、振動の収まりの早さも注目に値するだろう。乗り心地を確かめているうちに、助手席での試乗時間は終了となった。

恐らくこのクラスでは最強でも、最速でもない。だが、8代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、7代目から大きな進歩を遂げたようだ。

伝統のゴルフGTIとして、ベストといえる俊敏性とレスポンスを獲得しているように感じた。安定感が強く、限界領域での落ち着きも明らかに高い。

筆者が実際にステアリングホイールを握れるのは、あと数ヶ月ほど先。しかし、既に素晴らしいホットハッチが完成していることは、間違いなさそうだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプのスペック

価格:2万9900ポンド(397万円)
全長:4284mm(標準ゴルフ)
全幅:1789mm(標準ゴルフ)
全高:1456mm(標準ゴルフ)
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:6.2秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1370kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:245ps/4700-6200rpm
最大トルク:37.6kg-m/1600-4300rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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