【販売不振の不思議】アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオへ試乗 MC

公開 : 2020.08.11 10:20

ジュリア最大の資産は傑出のシャシー

Dモードでは、アクセルペダルの反応も明確に鋭くなる。前方の道が空いていて、ハイペースでジュリアを走らせているなら、素晴らしい体験だろう。市街地では、少々過敏でアグレッシブ過ぎる。

そんな時はノーマル・モードを選べば良い。尖ったレスポンスは、文化性を感じるほど丸くなる。トランスミッションのマナーも好印象だ。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

マイナーチェンジ後でも、ジュリア最大の資産は傑出のシャシー。サスペンションのダンパーは若干柔らかさを増し、500ps以上のスポーツサルーンとして、乗り心地と姿勢制御とのバランスは絶妙。ダイナミック・モードで引き締めることもできる。

轍や隆起部分で強い衝撃は伝わってくる。しかし、我慢を強いられるほどではない。

操縦性も素晴らしいの一言。常識的な速度域であっても、手のひらに伝わる感覚は、クルマが生きているかのよう。指定された試乗コースでは、ジュリア・クアドリフォリオの限界性能を確かめるには不十分ではあった。

ステアリングのレシオはかなりクイックで、ロックトゥロックは2回転を少し超えるだけ。過度に敏感だったり、落ち着きがなかったりすることはない。充分な勢いと正確性で、フロントタイヤの向きを変えてくれる。グリップ力も不足はない。

インテリアに受けた変更は各所で小さいものの、全体で見れば従来以上の説得力を得ている。最も大きな違いは、センターコンソール。

インフォテイメント用モニターはタッチ式になったものの、反応が良いとはいえない。ドイツ製のライバルと比べると、グラフィック面での洗練度も及ばない。

伸び悩む販売が不思議なほどの仕上がり

以前まで、シフトレバーやロータリースイッチ周りは、マット加工のプラスティック製パネルで覆われていた。これが見直され、トランスミッション・トンネル全体を覆うカーボン製カバーに置き換わった。クルマの性格上、欲しかった要素だといえる。

改良を受けたとはいえ、プレミアムな雰囲気ではメルセデスAMG C63には及ばない。一部のドライバーにとっては、C63が積むV8エンジンのノイズと比べると、V6エンジンの音響は物足りないかもしれない。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

しかし、ドライバーズカーとして見れば、アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオは秀抜。しかも英国での価格は6万7195ポンド(907万円)で、AMG C63と比べれば、1万ポンド(135万円)近く安い。

アルファ・ロメオは信頼性が低い、といわれたのは一昔前の話し。ジュリア・クアドリフォリオの素晴らしい完成度を考えると、販売が伸び悩む理由が不思議でならないのだった。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)のスペック

価格:6万7195ポンド(907万円)
全長:4635mm
全幅:1865mm
全高:1435mm
最高速度:307km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:9.6km/L
CO2排出量:236g/km
乾燥重量:1580kg
パワートレイン:V型6気筒2891ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/6500rpm
最大トルク:61.1kg-m/2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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