【ホンダは中国で強気 スズキはインドで苦悩】両社、海外が重要 しかし異なる戦略 日本への影響は

公開 : 2020.08.07 05:50

ホンダ、インドの影響少なく 中国期待

インド市場という観点では、スズキが乗用車市場の約半分を占めるため、結果的に他の日系メーカーはインドでのダメージが少ない。

例えばホンダの場合、インドは四輪事業よりも二輪事業での関わりが大きい。今年8月5日に行った2020年度第1四半期決算および通期見通しの発表では「金融引き締めが大きく、さらに各社による値引き合戦に二輪トップメーカーとしては関与しない」として、今後も様々な施策を打ちながらインド市場の動向を見守るとした。

2020年度第1四半期ホンダ・グループ販売台数。
2020年度第1四半期ホンダ・グループ販売台数。    ホンダ

二輪市場では、タイやベトナムでの業績回復が顕著だという。

一方の四輪市場では、中国の回復を強調した。

中国政府による新エネルギー車に対する販売奨励金の継続や、一部で実施されている新車販売におけるナンバープレート規制の緩和など、消費刺激策が続々と打ち出されていると指摘。

その上で、7月は広州ホンダが6万8000台、東風ホンダが6万7000台と前年同月比で100%を超えて回復した。

今後も新モデルの発表も控えており、また中長期的にも「世界最大市場としての中国の存在は変わりない」と見る。

アメリカについては、一時の回復基調から一転し、6月後半から地域によってコロナ第二波の影響により、商業活動などを規制する州も出てきており、社会情勢を注視すると説明した。

では、日本はどうなる?

ホンダ日本市場 新車戦略が見えず

ホンダの四輪の通期販売見通しは、グローバルで前年比29%減の450万台とした。

中国が全体を引っ張り、アメリカが不安定でもなんとか下期には回復基調に乗り、日本でも着実な回復を期待するとしている。

ホンダとしては次期ヴェゼルなど、大きな話題にならなければいけない時期か。
ホンダとしては次期ヴェゼルなど、大きな話題にならなければいけない時期か。    AUTOCAR

決算報告後に行ったテレビ、新聞、経済メディアとの質疑応答では、中国やアメリカは話題に挙がったが、日本市場についての発言は質問者からもホンダからもほとんどなかった。

現在、日本でのホンダはNボックスが軽ナンバーワンの座を守り、小型車では新型フィットが健闘しているものの、これらに次ぐモデルが不在という印象がある。

話題のホンダ「e」について、ホンダはエネルギーインフラも含めた大枠でのサービス体制を考えており、フィットのように数を稼ぐためのモデルではない。

市場動向を見れば、トヨタダイハツも含めたSUV攻勢が目立ち、ホンダとしては次期ヴェゼルや、他市場で展開する小型SUVを日産キックスのように日本市場に仕立てるような案件が、メディアを通じて大きな話題にならなければいけない時期に思える。

ホンダは今年4月に実施した、本社と研究所の新体制における新車のコスト管理の徹底を強調する。

当然、その効果が現れるまで数年間かかることになり、ウィズコロナ下での日本市場の活性化策が、まだはっきりと見えてこない。

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