【テストドライバーと一般道を走る】磨かれるジャガーFタイプとFペイス 後編

公開 : 2020.09.06 11:50

ジャガー・ランドローバー社のすべてのモデルは、マイク・クロス率いるチームによって洗練度が高められます。英国編集部の編集長が、ジャガーFタイプとFペイスに乗り、その磨き込まれる過程を確かめました。

エンジンとトランスミッションとの調和

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ジャガーのテストドライバーも、途中のサービスエリアで休憩を取る。良い習慣だ。メモをとるのにも丁度いい。複数台で走っている場合、クルマの交換もできる。

違うクルマに乗り換えて比較するほど、効果的に違いを確認できる方法はない。テルフォードの街を抜け、A5号線へ入る。シュルーズベリーの環状線だ。先を争うように、クルマが走る。

ジャガーFタイプとジャガーFペイス
ジャガーFタイプとジャガーFペイス

アクセルペダルを踏んだり離したり、何度も繰り返す。エンジンとトランスミッションとの調和の取れた反応が、重要となる流れだ。加減速の多い区間で、簡単に運転できるか。加速時のエンジンは、ジャガーらしいサウンドか。優先される事項となる。

市街地を過ぎ、道は片側1車線へと変化。見通しの良い場所なら、安全に追い越せる環境になった。正確なパワーデリバリーと、トランスミッションの素早い反応を確かめられる。

A458線へ降り、ウェルシュプールの街へ進路を変える。クロスが数年前に設定したルートだという。

クロスは、この街の中心にある、ロイヤルオーク・オークというホテルがお気に入り。新モデルのデモが開かれることも多い。

「ここから先は、お楽しみの運転が待っています。街を抜けるまでは狭いですが、アップダウンのある素晴らしいカーブがあります」

「ステアリングの精度と、操縦性の安心感を確かめるのには最適です」。とクロスが笑う。交差点を抜けると、曲がりくねった区間がある。迅速なステアリングの応答性が求められる。

変化に富んだコーナーに、眺めのいい景色

「Fペイスのようなクルマで、路面状況の変化を感じ取れることに驚かされます。ステアリングは悪くありませんが、完璧でもないですね。チームが一生懸命仕事をする理由です」

さらにスランバスリンへ北上。ロイヤルオーク・ホテルを30分前に通過したから、コーヒー休憩の時間。学校もある。クリープを使って、ゆっくり走りたい。

ジャガーFペイス(欧州仕様)
ジャガーFペイス(欧州仕様)

「以前はもう少し速く走りました。速度を抑えたい区間なので、低速域でのブレーキングを確かめられます」。そこからB4391号に入り、バラの街の方向へクルマを進める。

道路は狭く、木が立ち込め、大きな水たまりがところどころにある。道の片側には石の壁があり、車幅感覚を正確に掴む必要がある。

交通量が少なくなり、タナトバレーを北西に走る。英国有数の、素晴らしいドライビングルートが広がる。常に3つ前後のコーナーが視界に入る。

いつまでも走っていたいと思える道だ。ワインディングへ入り、バラの街へつながる。隆起やうねりのある路面を通過する。路面変化で操舵感に影響が出る、バンプステアを確かめられる。

混雑したバラを抜け、B439号線を選ぶ。クロスのチームが、ヨーロッパで一番のドライブコースだと話す区間だ。見通しの良い視界と、滑らかな舗装。変化に富んだコーナーに、眺めのいい景色。交通量も少ない。

がむしゃらに飛ばす必要はない。滑らかに力強く走るだけで、楽しい。長い距離が、短く感じられる。この区間が、テスト走行のクライマックスでもある。

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