【新型トヨタ86/スバルBRZ】生産終了はBRZが先 プラットフォームは現行と共通化 運転支援も ただし時期不明 困惑も

公開 : 2020.09.09 05:50  更新 : 2021.10.22 10:15

機能向上は幅広く 運転支援機能も

解析能力も高まり、共通のプラットフォームを使っても、補強やサスペンションの設定変更で新開発に近い効果を得られるようになった。

例えば現行型のマーチ/ノート/キックスは、すべて共通の「Vプラットフォーム」を使うが、走行安定性、操舵に対する反応、乗り心地は、車種によって大幅に異なる。

新型トヨタ86の予想イメージ。
新型トヨタ86の予想イメージ。    AUTOCAR英国編集部

マーチ、ノート、さらにキックスと、設計が新しいほど良くなる。マーチは低価格車だから違って当然ともいえるが、ノートeパワーとキックスの差も大きい。

日産の開発者は「新しい車種ほどVプラットフォームを使い慣れて、何をすればどのように良くなるのか、今ではかなり正確に把握できている」という。

同じようなことが次期型86とBRZの開発にも当てはまる。

次期型では安全装備も大幅に進化する。現行型はアイサイトのような衝突被害軽減ブレーキを装着できなかった。開発者は「ステレオカメラを装着する地上高が低く、フロントウインドウの角度も影響して、アイサイトを装着しにくかった」と振り返る。

しかし今はカテゴリーを問わず、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能を装着するのが当然になった。そこで次期型では設定する。

スポーツカーは長距離ドライブにも使われるから、運転支援機能はドライバーの疲労を軽減させて安全性も高める。

このように次期86とBRZは、現行型をベースにして基本路線も踏襲するが、機能は多岐にわたって向上するわけだ。

時期不明 ユーザー/販売店、困惑気味

スバルトヨタが次期BRZと86の開発を業務提携の内容に盛り込んだ以上、次期型の開発が相当に進んでいることは間違いない。

それなのに両社の販売店に問い合わせると「次期型の登場時期などは不明」という。

新型スバルBRZのプロトタイプ。
新型スバルBRZのプロトタイプ。    AUTOCAR英国編集部

特にBRZは、生産が終わって在庫販売になった。そのスバルの販売店は、以下のようにコメントしている。

スバル販売店のコメント

「BRZは生産が終わり、もともと在庫車も少なかったので、今は販売していない状態です。それでも次期型の予定は聞いていません」

「現行型のBRZを使うお客様からは、発売までのスケジュールについて問い合わせを受けますが、2021年2月以降になる、としか返答できません」

「今後は燃費規制も厳しくなるので、開発に時間が掛かり、メーカーとしては正確な情報を伝えにくい面もあるのでしょう」

トヨタ販売店のコメント

トヨタの販売店は以下のようにコメントした。

「スバルのBRZが生産を終えたので、86も時間の問題だと思います」

「それでも終了の時期を知らされていないので、お客様には現行型を購入するなら早めに判断して欲しいと申し上げています」

「いきなり終了する可能性もあるからです。86はスバルが製造するクルマなので、約3か月間という長めの納期も含めて、トヨタにとっては特殊な車種になっています」

一般的なフルモデルチェンジでは、従来型が生産を終えると、時間を置かずに次期型が発売される。その車種が不在の期間が生じれば、売れ行きも下がるからだ。

また愛車の車検満了が近付いているのに、次期型の発売時期が不明では、ユーザーは購入計画を立てられない。車検満了に合わせて別の車種に乗り替えてしまうこともある。

ユーザーを不安にさせないためにも、BRZが現行型の生産を終えたのなら、86も含めて今後のスケジュールを明確にすべきだ。

それをしない背景には、BRZや86の登録台数が限られ、経営的なリスクが少ないこともあるだろうが、ユーザーの気持ちを優先させて欲しい。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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