【毎日の道を心地良く】ポルシェ718ボクスター GTS 4.0 PDKへ試乗 4.0L NA 400ps

公開 : 2020.12.05 10:25  更新 : 2024.02.15 08:11

刺激的なフラット6を搭載する、ミドシップ・オープンのボクスター。今回試乗したのは、GTS 4.0に追加となった7速PDK。これまで選は6速MTのみでしたが、スポーツ濃度の高いGTSとしての走りの変化を、英国編集部が評価します。

GTS 4.0で選べるようになった7速PDK

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
今回試乗するのは、ボクスターやケイマンのラインナップの中で、最も数が多く売れるであろう1バリエーション。GTS 4.0のPDKだ。

これまで珠玉の自然吸気フラット6を搭載するボクスターやケイマンには、6速MTが充てがわれてきた。スポーツ度に焦点を当てた設定だっとは思うが、実際の販売で考えればPDKの需要は小さくない。

ポルシェ718ボクスター GTS 4.0 PDK(欧州仕様)
ポルシェ718ボクスター GTS 4.0 PDK(欧州仕様)

そういうわけで、7速デュアルクラッチ・トランスミッションがGTS 4.0で選べるようになった。そのかわり、英国では2303ポンド(31万円)という安くはない追加費用が必要となる。

7速PDK版のGTS 4.0では、最大トルクが0.9kg-m追加され、43.7kg-mへアップ。0-100km/h加速時間は6速MTから0.5秒短縮し、4.0秒フラットを実現した。

一方で最高速度は288km/hに設定され、MT版より5km/hほど低い。長いストレートのあるテストコースかドイツのアウトバーン以外では、確かめられないだろうけれど。

燃費は若干良くなる。MTの9.2km/Lに対し、9.9km/Lという数字がカタログに載る。CO2の排出量も、247g/kmから230g/kmへ減少。それ以外は、MTの718ボクスターと基本的には変わらない。

モータースポーツ前提のGT4マシン用ユニット直系といえる、4.0Lの水平対向6気筒エンジンは400psを発生。GTSとしてシャシーのアップグレードも受け、魅了されるドライビングの興奮と、日常利用の利便性とを見事に両立させている。

気持ち良いほど素早く滑らかに変速が完了

ポルシェ自慢のPDKは、デュアルクラッチATの中でも最高の1つ。GTS 4.0の仕上がりを悪化させる心配はいらなそうだ。ドライバーの一体感や興奮という面での変化は、どの程度だろう。

PDKの718ボクスター GTSで駐車場を出てみると、自動で変速してくれるメリットを実感する。多くのユーザーが、PDKを選ぶ理由もわかる。

ポルシェ718ボクスター GTS 4.0 PDK(欧州仕様)
ポルシェ718ボクスター GTS 4.0 PDK(欧州仕様)

シフトノブでDを選べば、滑らかに発進。デュアルクラッチATにありがちな、時折見られる変速時のもたつきもない。気持ち良いほど素早く、変速を完了してくれる。

高速道路に合流すると、7速へシフトアップし穏やかな高速巡航が始まる。中回転域でのトルクも太く、PDKがキックダウンしなくても、アクセルペダルを踏み込めば充分な加速が始まる。

ソフトトップを開いていても閉じていても、平穏に先を急げる。ダンパーの設定がコンフォートなら、路面からの強い入力の角は見事に丸められる。荒い路面に差し掛かった時の大きなロードノイズが、心象をわずかに乱す程度。

毎日乗ることは、まったく問題ない。想像通り。ではペースを速めて、思い切り笑顔になりたい時はどうだろう。

アルカンターラ巻きのステアリングホイールに配された、ドライブ・モードのコントローラーでスポーツを選択する。その瞬間、アクセルペダルへの反応が鋭くなる。

PDKはより高回転域まで同じ段数を保つようになり、ここぞという時にシフトアップを即座に完了。しかもシフトショックを感じないほど、滑らかだ。

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