「エンジン」再び ポルシェ、次世代718に内燃機関モデル導入 EV計画見直し

公開 : 2025.09.23 06:45

ポルシェがEV計画の見直しを発表しました。大型電動SUVについては内燃機関モデルとPHEVの2本立てとします。また、次世代718ボクスター/ケイマンの「最上位」グレードに内燃機関を追加する方針です。

需要減に対応、エンジン継続

ポルシェは、次世代718ボクスター/ケイマンの「最上位」グレードに内燃機関モデルを設ける方針を示した。電動化戦略を大きく転換し、カイエンの上位に位置する大型電動SUV『K1』の計画も中止されることになった。

この「戦略的再編」に伴い、カイエンとパナメーラの内燃機関モデルおよびPHEVモデルも大幅な改良が施され、「2030年代後半まで」生産継続されることが確定したという。オリバー・ブルーメCEOが9月19日の投資家向け説明会で明らかにした。

718の次世代モデルにも内燃機関か用意されるようだ。
718の次世代モデルにも内燃機関か用意されるようだ。

ポルシェは、フォルクスワーゲン・グループの新プラットフォーム『SSP 61スポーツ』の開発中止により、18億ユーロ(約3130億円)の損失を被る見込みだ。このプラットフォームは標準のSSPから派生したもので、K1やパナメーラ、タイカンの後継EVに採用予定だった。しかし、ブルーメ氏によれば「2030年代後半まで」導入が延期されるという。

「D-SUV」と称されるK1は、内燃機関モデルとPHEVモデルの両バリエーションが発売されるが、具体的な時期は明らかにされていない。K1の開発計画は2022年に初めて確認された。

「高級バッテリーEVの需要が明らかに減少していることを認識しており、そのことを考慮に入れています」とブルーメ氏は述べた。

ブルーメ氏はまた、ポルシェは中国における高級車需要の「劇的な減少」にも揺さぶられていると認めた。米国政府が輸入車への関税引き上げを決定したことも利益を圧迫している。

こうした状況の中、今年の純利益率は約2%に低下する見通しだが、「中期的」には新製品の投入により利益率を10%以上に戻し、成長軌道に復帰すると予測している。

「この柔軟性により、内燃機関、PHEV、バッテリーEVという魅力的な組み合わせで、強力な地位を築くことができます」とブルーメ氏は述べている。

また、電動化への取り組みは継続すると強調し、「EVは特定の顧客層を惹きつけ、その需要は拡大している」と付け加えた。

マカン相当の内燃機関SUVも投入

ポルシェはフォルクスワーゲン・グループの『プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)』プラットフォームを基盤とした新型カイエン・エレクトリックを間もなく発売予定で、マカン・エレクトリックはすでに販売中だ。

ポルシェは当初、2030年までに世界販売の80%を電動車とする方針を掲げ、マカン・エレクトリックも従来の内燃機関モデルの後継とする計画だった。

シルエットは同じだが、左からB-SUV(M1)、新型718、D-SUV(K1)
シルエットは同じだが、左からB-SUV(M1)、新型718、D-SUV(K1)    ポルシェ

しかし、今回、内燃機関とPHEVの両バリエーションを備えた同等のSUVモデルを追加し、マカン・エレクトリックと並行して販売すると発表している。

この新型SUV『M1』は、フォルクスワーゲン・グループのプレミアム・プラットフォーム・コンバッション(PPC)を採用する3代目アウディQ5をベースとするため、同社初の前輪駆動主体の量産車となる。

ブルーメ氏は7月、M1の開発期間が3年と比較的短いため、市場投入までの「プロセスを加速させる」と述べていた。通常、ポルシェの新型車はコンセプトから市販まで5年を要する。

新型718の内燃機関搭載モデルに関する詳しい情報はなかったが、「最上位(Top)」と表現されていることから、RSやGT4 RSといたハードコアモデルとなる可能性がある。エントリーグレードは電動パワートレインを採用する見込みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニック・ギブス

    Nick Gibbs

    英国編集部ビジネス担当記者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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