【ずっと乗っていたい】メルセデス・ベンツGLE 400dクーペに試乗 高級モデルの新しい姿

公開 : 2020.12.10 10:25

豊かなトルクが生む安楽な柔軟性

フロントに収まる6気筒ディーゼルターボは、非常に洗練されている。静かで滑らか。少しアクセルペダルを踏み込んだくらいでは、ノイズもほぼ聞こえてこない。それでいて、必要なパワーを充分に発揮する。

最大トルクは71.2kg-mで、PHEVのシステム総合でのトルクと同値。発進や中間加速での柔軟性には、感心するほど。

メルセデス・ベンツGLE 400dクーペ(英国仕様)
メルセデス・ベンツGLE 400dクーペ(英国仕様)

GLEには、メルセデスAMGのモデルも展開される。400dのドライバーが優先するのは、威圧的な動的性能ではなく、安楽な走りと1度の満タンで走れる航続距離になるだろう。

実際、ドライブ・モードをコンフォートにすれば、400dは極めて安楽。9速ATは、ちょうどいいタイミングで、滑らかに変速を済ませる。アクセルペダルを踏み込めば、より高回転域までトルクを活用しながらシフトアップする。

その気になればかなり速いが、そんなに気張る必要はない。リラックスした速度で郊外を走れば、燃費は14.2km/L前後まで伸びる。高速道路なら、960kmくらいは無給油で走り続けられる。

ホイールは22インチが標準。AMG GLE 63 Sと同じサイズだ。それでも、想像ほど低速域での乗り心地に悪い影響はない。ロードノイズも良く抑え込まれている。

コンフォート・モードでは、エアサスペンションは適度にソフト。100km/hの速度に近づくと、路面の変化に伴い、長めの波長での横揺れが伴うようだ。

スポーツ・モードを選べば、おおらかな揺れもシャットアウト。高速域での姿勢制御に締まりが出る。そのかわり、市街地の速度域での衝撃吸収性に陰りが出てしまう。

大きいメルセデスとして高められた訴求力

ステアリングホイールの操舵感は、ドライブ・モードに関わらず軽く、情報量は少ない。ドライバーとの一体感は濃くないものの、GLEクーペという性格には合っている。

エアサスペンションを引き締めれば、ペースを速めても機敏に身をこなし、安定性も高い。だがライバルの中で、最も自然な軽快さを備えているわけではない。

メルセデス・ベンツGLE 400dクーペ(英国仕様)
メルセデス・ベンツGLE 400dクーペ(英国仕様)

もし大きなSUVで、ドライビングの充足感を豊かに味わいたいのなら、ポルシェカイエンの方が良いかもしれない。そもぞも、難しい願いではあるけれど。

デザイン重視のSUVは、英国でも好き嫌いが分かれるカテゴリーだ。新しいGLEクーペは、先代より訴求力の強い「大きいベンツ」になったと感じる。その当たりの柔らかさに、ずっと乗っていたいと思ってしまったほど。

この手のSUVクーペを好むドライバーの特徴を、400dの動的性能はシンプルに良く表現していると思う。22インチ・ホイールと傾斜したルーフラインを備えながらも、快適で上質で、運転しやすい。首尾よくまとめられた、メルセデス・ベンツだ。

メルセデス・ベンツGLE 400dクーペ(英国仕様)のスペック

価格:7万3450ポンド(991万円)
全長:4939mm
全幅:2010mm
全高:1730mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:11.9km/L
CO2排出量:219g/km
車両重量:2220kg
パワートレイン:直列6気筒2925ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:329ps
最大トルク:71.2kg-m
ギアボックス:9速オートマティック

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