【走りも楽しいファミリーサルーン】アルファ・ロメオ・ジュリア 英国版クラシック・ガイド 前編

公開 : 2021.01.17 07:25

クラシック・アルファ・ロメオとして、スポーティな走りを楽しめるだけでなく、優れたファミリーサルーンにもなると英国編集部が評価する、105系のジュリア。近年の価格は上昇傾向ですが、部品供給は安定しているようです。

視界にも空力性能にも優れた四角いボディ

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
ジュリア・スプリントで影が薄くなりがちだが、オトナな雰囲気のアルファ・ロメオ・ジュリア105シリーズは、クラシックな楽しいファミリー・スポーツサルーンになってくれる。

1963年の登場当初、モーター誌はジュリアの見た目を「不快には見えない」と記しているが、スタイリングの評判は確かに良くはなかった。しかし、エンジンやトランスミッション、ハンドリングなどの仕上がりには、高い評価を与えている。

アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)
アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)

アルファ・ロメオのデザインチーフ、ジュゼッペ・スカルナティが生み出したサルーンには、驚くほど広い車内空間が与えられている。コラムシフトを採用し、スプリットタイプのベンチシートをフロントに載せることで、当初の定員は6名だった。

カタチからは想像しにくいが、空力性能にも優れ、空気抵抗のCd値は同時期のポルシェ911に並ぶ。大きな窓が与えられ、運転席からの視界も優秀。1300系とシングルキャブの1600系は速くないものの、エネルギッシュな走りは爽快だ。

初期のジュリアは四輪ともにドラムブレーキで、左ハンドルのみ。レース志向のTIスーパーは最も人気が高く、取引価格も高い。1965年にツイン・ウェーバーキャブレターを載せたスーパーが登場。こちらの方が乗りやすく、活発で運転も楽しめる。

1965年から1969年にかけて製造されたジュリアのトップグレードには、ボリノ・デ・オロと記された金色のエンブレムがリアピラーに付けられている。1969年から1972年のモデルでは、ミラノのヘビ柄、ビショーネのエンブレムが付いている。

高回転を好むエンジン ハンドリングは一級品

近年の価格は上昇傾向にあるが、それでもボロボロの状態からレストアして仕上げるより、状態の良いジュリアを買った方が予算は抑えられる。珍しいとはいえ、時間をかけてオリジナル状態のクルマを探す価値はある。プレミア価格にはなってしまうけれど。

1963年のモーター誌にはこう記されている。「ジュリア1600TIは、平均より速いドライバーでも、日常的に乗れるように設計されています。エンジンは高回転を好み、滑らかに吹け上がり、安楽に高速走行をこなせます」

アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)
アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)

「ハンドリングは一級品。シンクロの付いた5速MTが、エンジンの魅力を高めています」。しかし、多くはレストアを受けているから、仕上がりには気をつけたい。技術の良し悪しで、その後のジュリアとのカーライフや価値が、大きく変わってしまう。

安価な部品への交換で済まされている場合にも、注意したい。せっかくのクルマの信頼性を下げてしまう。直すなら、高品質な部品を選びたいところ。

ボディは錆びやすく、英国で見つかるジュリアは大抵どこかが錆びている。オーストラリアや南アフリカなら、きれいなボディのジュリアが見つかる。販売地域によって、微妙にトリムグレードの内容が異なる場合がある。

運転席からの視界には優れるから、左ハンドル車だとしても、英国や日本で運転しにくいとは感じないだろう。オリジナルの設計といえる左ハンドル車で、錆のないジュリアを選ぶメリットも大きい。

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