【再評価】トヨタMR2(AW11)に試乗 前編 歴史を振り返る

公開 : 2021.01.26 11:25  更新 : 2021.10.09 22:32

ミドシップ・レイアウト。電動化、自動運転がトレンドのこの時代に、トヨタの「異端児」MR2(AW11)に試乗しました。トヨタの歴史の1ページを再評価します。

トヨタ&ミドシップ、鮮烈な記憶

photo:Koichi Shinohara(篠原晃一)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

エンジンを車体の中心に置くミドシップ。

1950年代の末、イギリスのクーパーF1チームがグランプリの世界に革命をもたらしたこのパワートレイン・レイアウトは瞬く間にル・マンに代表されるスポーツ・レーシングカーの世界にも波及していった。

トヨタMR2
トヨタMR2    篠原晃一

ミドシップ・レイアウトは少し遅れて市販車の世界でも頭角を現し、今日でもなおスポーツカー世界の究極の選択肢でありつづけている。

重量物を車体中心に集めることで慣性モーメントが小さくなり、運動性能を高める。そんなミドシップ・レイアウトを国産スポーツカーとして最初に採用した1台が初代のトヨタMR2だった。

車名に含まれるMRの文字はミドシップを想起させる。実際にはミドシップ・ラナバウト2シーター(Midship Runabout 2Seater)の頭文字を取ったものである。初代MR2は1983年の東京モーターショーでプロトタイプが話題を集め、デビューイヤーとなった1984年には日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞し華々しいスタート切っている。

MR2は1989年に2代目(SW20)へとモデルチェンジ。さらにトヨタのミドシップ・スポーツカーの血統は1999年に誕生したMR-Sへと受け継がれていたが、この命脈は残念ながら2007年に尽きてしまっている。

カローラのコンポーネンツを有効活用

エンジンを横置きし、ギアボックスと一体化されたパワートレインを積むミドシップ・スポーツカーは、MR2以前にもいくつか前例があった。

フィアットのX1/9がその代表的なモデルとして知られるが、イギリスにはクラシック・ミニのパワーパックを流用した小メーカーの作品がいくつも存在していた。またMR2登場の前年にポンティアックがリリースしたフィエロもそこに含まれる。

トヨタMR2
トヨタMR2    篠原晃一

MR2はE80系カローラのパワートレインをそのまま後方に移動させることで、ドライブシャフトやサスペンションパーツ以外にも多くのコンポーネンツを流用でき、コストを抑えた設計がされていた。

MR2にはデビュー当初3つのグレードが存在した。1.5Lシングルカムの3A-LUエンジンを搭載したベーシックなSと1.6Lのツインカムの4A-GELUを搭載した上位グレードのGとGリミテッドである。前者が「AW10」、後者が初代MR2の代名詞にもなっている「AW11」という型式を与えられていた。

初代MR2はデビューから2年が経過した1986年にマイナーチェンジが施されている。後期型の話題の中心は4A-GZEと呼ばれるスーパーチャージャーが追加されたエンジンを搭載していた点で、NAエンジンの130psに対し、145psの最高出力を誇っていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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