【毎日楽しいミドシップ】トヨタMR2 英国版クラシック・ガイド SW20型 濡れた路面に注意 前編

公開 : 2021.04.11 07:05

トヨタ製ミドシップスポーツで、一番多く売れたのが2代目MR2。近年の英国でも、クラシックとして注目が高まっています。英国編集部がその魅力と注意点をご紹介します。

ホットハッチに後塵を浴びせる走り

text:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
軽量でエッジの効いた運転を楽しめた初代トヨタMR2は、欧州でも強い支持を集めた。その人気に後押しされるように誕生したのが、SW20型と呼ばれる2代目。直接的なライバルは、当時ほぼ存在しない状況だった。

ボディはひと回り大きくなり、快適性も高められ、車重が増えたもののパワーアップも実現。フェラーリの匂いを感じる見た目をまといつつ、本物のスポーツカーとしてホットハッチに後塵を浴びせる走行性能を備えていた。

トヨタMR2(2代目/1989〜1999年/英国仕様)
トヨタMR2(2代目/1989〜1999年/英国仕様)

欧州ではオプションでATが設定されたが、選ばれた多くはMT。2代目のMR2は生産を重ねる中で改良が加えられ、最後のモデルが最善のモデルといえる。

ただし、特に濡れた滑りやすい路面では、不用意な運転が事故を招いた。シャープでスポーティな操縦性と、安定性とのバランスがトヨタには求められた。

英国仕様のGTの場合、後期の方が前期より15psもパワーアップしている。しかし、最高出力の発生回転数は高められ、最大トルクは若干低くなり回転域が上昇していた。

AUTOCARの当時の記事によると、前期モデルと比べて目立った実力の向上は得られず、パワーを引き出して走るには多くのシフトチェンジが必要だったようだ。もしかすると、トヨタが意図的に変更したのかもしれない。

トルクを減らし最高出力の回転域を高めることで、アクセルを強く踏み込み続けられる技術を持つドライバーのみが、シャープな走りを楽しめるように。仮定だが。

日常使いできる素晴らしいスポーツカー

日本では、ターボチャージャー付きのMR2に人気が集まった。当初225psでスタートしたが、1993年には245psに引き上げられている。北米でもターボは売られているが、排気ガス規制に伴い馬力は204psへ絞られている。

英国市場にも、日本からの並行輸入でかなりのターボが上陸している。最高速度241km/h、0-100km/h加速5.5秒と、なかなかの俊足の持ち主だが、雑に乗られた過去や事故歴には気をつけたい。

トヨタMR2(2代目/1989〜1999年/英国仕様)
トヨタMR2(2代目/1989〜1999年/英国仕様)

現在の英国では日本からの並行輸入車の人気が高く、正規ディーラー車より安価で手に入る。メンテナンス状態が良ければ優れた選択肢になるものの、日本仕様と英国仕様とで異なる部品の入手で悩む可能性もある。

エグゾーストやホイール、エンジンだけでなく、ボディまわりのモディファイも一般的で、オリジナル状態のMR2を見つけることは困難。中古車サイトで見るクルマは、どれも同じ内容ではないと考えた方が良いだろう。

モディファイの状態が自分の好みに合っているかどうか、内容に不備はないか、オリジナルに戻せるかどうかなどを注意して選びたい。メカニズムは堅牢なものの、ボディのサビが致命傷になることもある。

2代目のトヨタMR2は乗りやすく、運転がとても楽しい。優れたハンドリングと、本格的な動的性能を兼ね、英国では30万km以上を走っている例も珍しくない。

フレッシュエアーを楽しめるタルガトップを組み合わせれば、日常使いできる素晴らしいスポーツカーになってくれるだろう。

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