【クラウンやLSよりも……】トヨタ・ミライのコスパ バーゲンプライスといえるワケ

公開 : 2021.02.25 05:45  更新 : 2021.10.13 12:04

先代モデルと比較しても……

それを理解したうえで、あらためて新型の価格を先代と比較してみると、もはや驚くしかない。

先代の最終モデルは740万9600円だった。一方で新型のボトムグレードである「G」は710万円。なんと、値下げしているのである。

トヨタ・ミライ「Zエグゼクティブ・パッケージ」
トヨタ・ミライ「Zエグゼクティブ・パッケージ」    トヨタ

その背景に燃料電池ユニットのコストダウンがあるとはいえ、先代に比べると新型はバーゲンプライス以外の何物でもない。新型ミライは、中身を考えると激安なのだ。

さらに、燃料電池車には購入時に国からの補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)が支給され、新型ミライの場合は117万3000円。それを考慮した実質価格は「G」で592万7000円となる。

その金額がどれほどのものか?

ミライと同じプラットフォームを使うレクサスLSは、排気量3.5LのV6ターボエンジンを積むボトムグレードの「LS 500 Iパッケージ」が1073万円。

比べるまでもないが、それはミライの最上級グレードとなる「Zエグゼクティブ・パッケージ」の実質687万7000円(車両本体価格805万円から補助金117万3000円を差し引いた額)よりも大幅に高い。

「トヨタ」と「レクサス」というブランドの違いがあるとはいえ、燃料電池車が同じ車格のガソリン車よりも安いというのは衝撃的だ。

そのうえ、両車を比較するとヘッドレストまで電動で前に倒せる助手席を備え、後席センターアームレストに空調やオーディオなどのコントロールパネルを組み込むなど装備水準はミライ「Zエグゼクティブ・パッケージ」のほうが上ともいえる。

コスパ良し&走りも魅力

トヨタを代表するセダンの「クラウン」と比べたらどうか。

クラウンの後輪駆動車の価格帯は、2.0Lの4気筒ターボエンジンを積むガソリン車の価格帯が509万9000円~575万9000円。

トヨタ・ミライ
トヨタ・ミライ

2.5Lの4気筒もしくは3.5Lの6気筒エンジンにモーターを組み合わせるハイブリッドの価格は489万9000円から739万3000円だ。

つまり、ミライはクラウンのミドルグレードと同程度で、クラウンの上級グレードよりは安い価格帯。繰り返すが、車格的にはミライのほうが上である。

こうしてレクサスLSやクラウンと比べてみると、新型ミライは先代に比べて性能や車格をアップしつつ、コストパフォーマンスを大きく高めていることがよくわかる。

いまや時代は、価格まで含めて「クラウンを選ぶか、それともミライを選ぶか」というところまで来ているのだ。

もちろん、ミライは水素の充填を必要とする燃料電池車だから、購入のハードルが高いのは否めない。

個人ユーザーであれば、自宅の近くに水素ステーションがないと購入に踏み切れないだろう。

しかし、その条件を満たすのであれば、「未来のクルマ」を自分の手に収めることは、クルマ好きにとって大きな喜びとなるに違いない。

最後に、運転好きにお知らせしたいのは、新型ミライのドライバビリティは素晴らしくとても魅力的ということである。

サーキットで走らせたミライは、大柄で重い車体のセダンとは思えないほど生き生きと走り、ドライバーを楽しませてくれた。

味わったことのない多くの人は意外に感じると思うが、走りを堪能セダンとしても、ミライは魅力に満ち溢れている。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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