【控えめなスター選手】フォルクスワーゲン・ゴルフGTD ディーゼルのGTI

公開 : 2021.03.08 08:25

ディーゼルエンジンの人気に陰りはあるものの、従来以上に説得力を増したと英国編集部が評価するゴルフGTD。8代目ゴルフの中で輝く存在といえそうです。

200psと40.7kg-mを生む2.0Lディーゼル

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
高性能なフォルクスワーゲン・ゴルフで、GTIではない方、ディーゼルエンジンを積むのがGTD。ガソリンエンジンのGTIと比べると、欧州での人気は2:1でGTDが優勢。内容を知れば、特に驚くような割合ではない。

ゴルフGTDが発売されたのは2009年。日本では馴染みがないものの、英国の一般道では見慣れた存在になっている。GTIより価格は安く、燃費は良い。一般道での速さもほとんど変わりないとすれば、GTDに支持が集まっても不思議ではない。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTD(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフGTD(英国仕様)

ターボディーゼルが人気だった頃、低回転域から引き出せる扱いやすいトルクは、多くのドライバーを惹きつけた。そこへGTI風のスタイリング要素をかけ合わせれば、大きな成功を掴めることは想像に難くない。

最新の8代目ゴルフにも、GTDが追加となった。だが今回は、GTIを超えるような注目を集める可能性は低い。GTDの動的性能や能力が、GTIに対して弱まったわけではない。ディーゼルエンジンの人気や露出が低いためだ。

スペックを見比べてみると、GTDは従来以上に優れた性能を得ている。価格も高くはなっているが。

最高出力は16ps増しの200psを獲得し、最大トルクは2.0kg-mほどプラスされ、40.7kg-mとかなり太い。燃費は従来のNEDC値からWLTP値へ変わったため直接の比較はできないが、19.2km/Lとされる。最新GTIの13.5km/Lよりかなりイイ。

デュアル・アドブルー噴射を備えるSCRフィルターを搭載し、2.0L 4気筒ディーゼルはNOx排出量も抑えている。速いだけでなく、環境にも優しい。

7速DSGと相性のいいGTD

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式というGTIと同じ構成。オプションとして、アダプティブDCCダンパーを組むことができる。

インテリアは、基本的にその他のゴルフと共通。実際に押せるボタンが削られ、インターフェイスがモニターに集約されたことは、AUTOCARの読者ならご存知だろう。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTD(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフGTD(英国仕様)

GTDとして注目したいのが、色使いは異なるものの、GTIと同じセミバケットシートが据えられること。表面がパンチング加工された、レザー巻きのステアリングホイールも共通だ。

運転姿勢は刺激的ではないにしろ、しっくり落ち着ける。センターコンソールには、バイワイヤで接続されたシフトノブが添えられる。GTDで選択できるトランスミッションは、デュアルクラッチATの7速DSGのみとなる。

ゴルフGTDは、ATとの相性が良い。ディーゼルターボとしては吹け上がりが良いものの、エンジンは低回転域で重たい印象がある。ガソリンターボほどエキサイティングではないから、知的に変速してくれるDSGに変速は任せておいた方が良いと思う。

力強さも音響面でも、2.0Lターボディーゼルはたくましい。サウンド・アクチュエータを静かに切り替えたいほど。標準のコンフォートのままでも、エンジンノイズはタグボートのように迫力がある。ちょっとうるさくて、疲れてしまう人もいるだろう。

スポーツ・モードではさらに賑やかになる。激しくGTDを攻め立てるような場面なら、怒鳴るようなノイズはドライバーの充足感を高めてくれるけれど。

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