【じっくり見る】マクラーレン・アルトゥーラの造形美 車重1498kg、ハイブリッド化のネガを相殺

公開 : 2021.04.13 22:07  更新 : 2022.11.04 13:53

機能美が後押しに アスリートの共感

発表会には、スペシャルゲストとして、義足を使って走り幅跳びに挑戦しているプロ・アスリートの山本篤選手、MCとしてキャスターの安藤優子氏が招かれ、トークセッションを開催。

山本選手は、アルトゥーラの第1印象を「見た瞬間に、格好いい。義足もそうだけれど、機能的に追い求めっていたものは格好良くなる」と熱心に語った。

山本篤選手(左)が使うブレードの機能美に感心する正本嘉宏 マクラーレン日本法人代表
山本篤選手(左)が使うブレードの機能美に感心する正本嘉宏 マクラーレン日本法人代表    上野和秀

「コクピットの入り口は乗り込みがしやすく、乗ってポジションを合わせたときには包み込まれるような姿勢になりました。手を伸ばした先に、すべてのボタンがあって操作しやすそう」

「スーパーカーに偏見があったのかもしれませんが、視野が狭くて、日常乗りにはたいへんだと思っていましたが、そうではなかったです。視界もよくて、印象が変わりました。スーパーカーはすごいんだな」

MCの安藤氏も、コクピットの印象を「バケットシートは思った以上にホールドがやさしい。ボタンも少なくシンプル」と話す。

シンプルな内装 その秘密

これを受けて正本代表は、「インテリアはドライビングするために存在するものですので、できるだけシンプルに、ドライバーが集中しやすいような環境をつくるのがマクラーレンのコンセプトです」と説明。

「レースで勝つというのは、たんにクルマの性能がいいだけでは勝てません。そこに優秀なドライバーがいて、そのドライバーが優秀なハードの性能をしっかりと出せる。この3つが揃って初めて実現します。それを熟知しているマクラーレンだから、ドライバーが長距離を乗っても疲れない、視界もできるだけ広々と心理的な負担を強いないものにします」

マクラーレン・アルトゥーラの内装
マクラーレン・アルトゥーラの内装    上野和秀

「マクラーレンのデザイナーは格好よくデザインするのは簡単だと言うんですね。格好よくではなくて、機能を徹底的に追求して、独自のアイデンティティをしっかり見せながら、印象的なデザインを作るのがやり甲斐だと、よく話しています」と付け加えた。

自身が使っているブレード(カーボンでできている足部)を紹介した山本選手は、「同じように見た瞬間に格好いい。その格好いい義足を履いて僕が上手に跳ぶようになれば」と話し出す。

「義足をはじめて履いたときは、本当に歩けるのか、と思いました。しかし、自分に合った義足が出来上がったときには、足をなくしてもスポーツをしたいという想いにつながっていきました。いまでも転ぶことはあるのですけれど、ずっとチャレンジする人生でありたい」

「格好いい義足に出会ったことで今がある。義足もそうだけれど、究極を追い求めたものは格好がいいです」

双方に共通する機能美と、飽くなきチャレンジングスピリットについて語り合った。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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