想像以上に精彩な上位3台 12チリンドリ x アルトゥーラ x 911 GT3 ツーリング BBDC 2025(5)

公開 : 2026.01.03 18:05

1年に試乗した中で、運転体験の喜びが最高の1台を選ぶBBDC 公道とサーキットで徹底評価 フェラーリにマクラーレン、ポルシェ、アストン、ランボルギーニまで10台の混合戦 2025年の頂点は?

想像以上に精彩な体験の上位3台

かくして、上位3台による最終選考へ残ったのは、フェラーリ12チリンドリマクラーレンアルトゥーラ・スパイダーポルシェ911 GT3 ツーリング。いずれも、精彩な体験は想像を超える。予想通りの展開、といえるかもしれないが。

オーバーステア傾向のコーナリングが興奮を誘う、911 GT3 ツーリングには始めから称賛が集まった。間違いなく優勝候補といえる。アルトゥーラ・スパイダーは、ロータス・エリーゼの新解釈と表現できるかもしれない。極めて精緻で、冷静沈着だ。

手前からフェラーリ12チリンドリと、マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー、ポルシェ911 GT3 ツーリング
手前からフェラーリ12チリンドリと、マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー、ポルシェ911 GT3 ツーリング

3台のパッケージングを改めて確認すると、エンジンの位置は前方と中央、後方と3様。エンジンも自然吸気のV12に、ツインターボでハイブリッドのV6、自然吸気のフラット6と異なる。電動化技術を載せない点で、12チリンドリと911 GT3は通じる。

ライバルとは別次元の驚異的な俊敏性

12チリンドリは速度域を問わず、メカニズムとの深い一体感を実現している。機械的な感触を伴うパドルを数回弾き、右足を深めれば、高速道路でも極上体験。9500rpmまで回るV12エンジンに、高揚せずにいられない。

公道で、合法的に全力を解き放つことは不可能だろう。MSサーキットの許容力すら超えていた。それでも、自然吸気の830psは魅惑的。アストン マーティンヴァンキッシュランボルギーニレヴエルトとは別次元の、驚異的な俊敏性も宿す。

フェラーリ12チリンドリ(英国仕様)
フェラーリ12チリンドリ(英国仕様)

他方、超クイックなステアリングと後輪操舵は、万人受けはしないだろう。「高感度のステアリングは、くしゃみの拍子で車線変更しそうな勢い。その結果、他の反応が若干遅いような感覚を生んでいます」。とジェームス・ディスデイルが分析する。

マット・ソーンダースはうなずいていたが、その操縦性へ夢中になった審査員もいた。「息を呑むほど精緻で敏捷ですね」。と表現するのは、リチャード・レーン。筆者も、あらゆる環境での異次元と呼べる走りへ魅了された。

1度親しくなれば没入感も半端ない

911 GT3 ツーリングの第一印象が、今ひとつだったと振り返るのはソーンダース。他の審査員も、乗り心地の硬さと、駆動系が発する振動へ初めは眉をひそめていた。

992型の911は、勝ち残った3台では最も登場が古い。ドライバーの操作に対し、比較すると寛容さは大きくない。そのかわり、1度親しくなれば没入感も半端ない。ペダルの配置は理想的。 自然吸気エンジンの反応も崇高といえ、充足感は凄まじい。

ポルシェ911 GT3 ツーリング(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 ツーリング(英国仕様)

「コースを使い切って夢中になれます」。とディスデイルが笑う。簡単ではないが、回転数に合わせたギア選びを習得すれば、他の2台以上にサーキットを掌握できる。

リアエンジンだから、慣れるまではコーナー入口でアンダーステア、出口ではオーバーステアに悩まされるかもしれない。最高水準にある電動パワーステアリングの感触を探れば、扉が開けてくる。より速く、安定して操れるようになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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