【FRセダンの本質】メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション試乗

公開 : 2021.05.10 05:45  更新 : 2021.10.11 14:50

メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディションに試乗。プレミアムセダンの本質をしっかりと味わえる1台です。

メルセデス・ベンツのFRエントリーモデル

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

Cクラスの前身となる190シリーズが登場した当時はセカンドカーなどのパーソナルユース向けとも評されたが、ベンツ車のエントリーモデルとしてのポジションを確立し、Cクラスへバトンタッチした。

初代Cクラスのモデルライフ途中からA/Bクラスが登場し、両モデルの拡充と車体サイズの拡大により現行Cクラスは全ベンツ車ラインナップの中堅モデルとなった。

メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション
メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション    神村 聖

しかし、FRモデルに限定すれば相変わらずCクラスがエントリーモデルである。

車体寸法を現行モデルでAクラスセダンと比較すると全長が150mm以上、ホイールベースが110mmもCクラスが大きい。車格設定どおりの車体寸法だが、その差の多くはプロポーションが違いである。

フロントピラーと前車軸の位置関係を見れば一目瞭然だが、Aクラス比で長い全長もホイールベースもキャビン長の拡大には寄与していない。

キャビンスペースによる要不要論ならCクラスはなくていい、と言っては流石に暴論だが、広さを基準にした車格設定からはみ出た存在である。

無論、車格感を演出するためにロングノーズになっているわけでもない。

スペース効率でFFに劣るものの、FRの採用はプレミアムセダンとしてのCクラスの魅力に大きく影響。

わざわざFRベンツ車のエントリーと表する理由でもある。

穏やかで安定感あるドライブフィール

個人的には3代目のビッグマイナーチェンジがCクラスの大きな転換点と考えている。

E/Sクラスもカジュアル&スポーティ色を濃くした時期もあったが、3代目Cクラスが登場する以前にプレミアムセダンの王道へと舵を切り直していた。

メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション
メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション    神村 聖

前記マイナーチェンジではE/Sと同じ根を持つコンパクトセダンという試乗印象を得た。乗り味が変わっていたのだ。

現行Cクラスの印象も同様。FRならではの重質な乗り味が車格感と寛ぎを高めていた。

例えば、サスのストローク感だ。

加速時に僅かに後輪が沈み込むが、伸び戻りはほとんど感じない。一般走行時のストローク量そのものは決して大きくない。加速時のスクォートも減速時のノーズダイブ、旋回時のロールも変位量は同クラス他車と比較しても少ないくらい。

姿勢をフラットに保つ能力の高いシャシーである。その中に往なしと据わりがしっかりと編み込まれている。心地よい沈み込みは往なしの妙味であり、伸び戻りの揺れ返しを意識しない据わりが下支えをする。

いずれのサスのストローク感覚も同様であり、荷重移動も穏やかかつ的確に伝わってくる。

操縦感覚も鷹揚でいて従順。ドライバーにあれこれ要求してこない。運転する手応えよりも落ち着きや安心感が持ち味であり、ドライバーにも寛ぎをもたらす要因の1つにもなっている。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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