【燦然と輝くフラッグシップ】アルファ・ロメオ・ジュリアGTAmへ試乗 500台限定 前編

公開 : 2021.05.16 08:25

アルファ・ロメオというブランドと、GTAという肩書の見事な復活だと絶賛する英国編集部。スポーツサルーンとして白眉の仕上がりなようです。

最もパワフルで、最も高価で、500台限定

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アルファ・ロメオが生み出してきたロードカーの中で、最もパワフルなエンジンを搭載するジュリアGTA。標準モデルの英国価格は15万2000ポンド(2280万円)と予想されるが、サーキット・フォーカスのGTAmは15万6000ポンド(2340万円)なり。

これまでで最も高いアルファ・ロメオでもある。今回試乗したのも、GTAmの方だ。

アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)

生産台数は、GTAとGTAmともに500台の限定。ダッシュボードには製造番号が記されたプレートがあしらわれる。恐らく公道で目にする機会は、極めて限られるだろう。ちなみにGTAとは、グラン・ツーリスモ・アレジェリータ(軽量化)の略となる。

初めに結果をいってしまうと、間違いなくアルファ・ロメオとして最高のロードカーだと思う。台数が限られているという事実は、とても残念だ。

経営陣の許可さえ降りれば、アルファ・ロメオは世界をリードするほど特別な高性能モデルを創造できることを証明した。限られたモデルラインナップで、厳しい競争に立ち向かっているブランドだけに、難しい判断なのだろう。

燦然と輝く新生アルファ・ロメオのフラッグシップとしてベースになったのは、ジュリア・クアドリフォリオ。価格が示すとおり、不足ないモディファイが加えられている。内容を掘り下げるまでもなく、ひと目見ただけでその違いは明白でもある。

写真をご覧いただきたい。ジュリアGTAは多数のカーボンファイバー製部品をボディにまとい、空力特性を全面的に見直している。その甲斐あって、アウディ・スポーツやBMW M、メルセデスAMG以上の凄みを獲得している。

雰囲気は公道走行が許されたレーシングカー

40mmの調整域が与えられたフロントスプリッターは、いかにも高価そう。フロントバンパーやフロントグリルのデザインは専用で、フロントフェンダーの後ろには大きなエア・アウトレットが開けられている。

サイドスカートも大型化され、カナードが付く。リアフェンダーは一層グラマラスになり、トランクリッドから巨大なカーボン製ウイングがそびえる。リアバンパーは、ディフューザーでえぐられた。公道走行が許されたレーシングカー、といった雰囲気だ。

アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)

もちろん見た目の凄さだけではない。アルファ・ロメオF1の開発パートナーであるザウバー・エンジニアリング社により、風洞実験が重ねられている。アンダーボディには気流を加速させ、後方に排出させるフィンも与えられている。

アルファ・ロメオの開発技術者、ダニエル・ティアゴ・グッツァファメによれば、ジュリア・クアドリフォリオ比で300kg増しのダウンフォースを獲得したという。かなりの結果だ。

高性能化に合わせて冷却システムの容量は10%ほど増しており、新しいボディはより多くの空気をシステムへ供給することも可能としている。

GTAと名乗るだけあって、軽量化も疎かではない。先述のエアロキットに加え、ボンネットやフロントフェンダー、ルーフパネルなどは軽いカーボン製。ジュリア・クアドリフォリオ比で100kgのダイエットに成功し、GTAの車重は1580kgとなった。

アウディRS5と比べると、147kg軽い。BMW M3コンペティションやメルセデスAMG C 63 Sと比べれば170kgと、かなりの差に仕上がっている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

アルファ・ロメオの人気画像