米国を代表する名車 フォード・サンダーバードの栄光と衰退(後編) ダウンサイズと幕引き
公開 : 2025.12.20 11:45
1955年に登場したフォード・サンダーバードは、半世紀、11世代にわたり生産された高級志向のパーソナルカーです。音楽や映画など、ポップカルチャーにも幅広く影響を与えたサンダーバードの歴史を振り返ります。
もくじ
ーダウンサイジングの始まり
ーどの世代も上回る総生産台数
ーさらにダウンサイズ
ー顧客はダウングレードと見なす
ージャッキー・スチュワートが開発に関与
ー販売台数の回復
ーNASCARでの勝利
ー新プラットフォーム『MN12』を採用
ー当初はV8エンジン設定なし
ーアンダーバードの活躍
ー4年の羽休め
ーレトロなデザインで復活
ー映画『007/ダイ・アナザー・デイ』で活躍
ー幕引きは初代モデル発売からちょうど半世紀を過ぎた頃
ダウンサイジングの始まり
1977年から1979年の7代目サンダーバードは、先代モデルより明らかに小型化され、約990ポンド(約450kg)軽くなっている。これは、1974年に発売されたエリートをベースにしているためだ。ボディスタイルは再び2ドア・クーペのみとなった。
サンダーバードが新型エンジンを搭載して登場する時代は終わった。1960年代に開発された、「ウィンザー」や「クリーブランド」と呼ばれるスモールブロックV8エンジンを採用。前者は302ci(4.9L)、後者は351ci(5.8L)または400ci(6.6L)である。

どの世代も上回る総生産台数
このサンダーバードは、過去最高の人気を得た。1977年だけで31万8140台が生産され、これは他のどの世代の総生産台数をも上回る数字だ。1978年にはさらに伸び、わずか3年のモデルライフで累計生産台数は95万5032台に達した。
人気はさらに広がり、ほぼ同一の車両がマーキュリー・クーガーのクーペ版としても販売された(生産台数はやや少ない)。クーガーの歴史は1997年までサンダーバードと並行して続いた。

さらにダウンサイズ
小型サンダーバードの人気に後押しされたのか、フォードは1980年のモデルイヤーで8代目を導入した。1966年以来のモノコック構造を採用し、1978年のフォード・マーベリックとマーキュリー・ゼファーに初採用されたフォックス・プラットフォームをベースとしている。
ウィンザーV8エンジンが引き続き採用されたが、大型の5.0L版でさえ133psしか出せなかった。さらに低出力のバージョンとして、1963年デビューの3.3L直列6気筒、あるいは3.3LのエセックスV6も用意されていた。後者は名称とは裏腹に英国製ではなく、カナダで生産されたエンジンだ。

顧客はダウングレードと見なす
8代目サンダーバードは装備が充実したほか、比較的軽量だったためハンドリングも評価された。しかし、サイズが大幅に縮小されたことから従来の顧客層の支持を得られず、V8専用だったラインナップに直列6気筒を追加したことも、燃費重視の時代性に沿った判断ではあるが、顧客からはダウングレードと見なされたようだ。
いずれにせよ、この8代目は販売面では失敗作となった。3年間の生産台数は、先代モデルを大幅に下回る。

ジャッキー・スチュワートが開発に関与
8代目で苦杯を喫したフォードは、9代目サンダーバードで大幅な改良に取り組んだ。引き続きフォックス・プラットフォームをベースとしつつも、スタイリングはより現代的で空力性能に優れたものになり、ハンドリング(F1世界チャンピオンに3度輝いたジャッキー・スチュワートが開発に関与)も改善された。
4.9LウィンザーV8(フォードでは5.0Lと表記)と3.8LセックスV6は継続採用されたが、サンダーバード史上最小のエンジンもラインナップに加わった。リマと呼ばれる2.3Lのターボチャージャー付き直列4気筒エンジンは、最高出力155psを発揮する。


















