米国を代表する名車 フォード・サンダーバードの栄光と衰退(前編) 誕生とサイズアップ

公開 : 2025.12.20 11:25

1955年に登場したフォード・サンダーバードは、半世紀、11世代にわたり生産された高級志向のパーソナルカーです。音楽や映画など、ポップカルチャーにも幅広く影響を与えたサンダーバードの歴史を振り返ります。

50年にわたるサンダーバードの歴史

ポップカルチャー(大衆文化)に大きな影響を与えるクルマはごくわずかだ。だからこそ、フォード・サンダーバードには何か特別なものがあったとしか思えない。

サンダーバードは、チャック・ベリー、マーク・コーン、ボブ・シーガー、ユーライア・ヒープ、そしてビーチ・ボーイズの楽曲に影響を与えたほか、数々の映像作品にも登場している。

フォード・サンダーバードの歴史を写真とともに振り返る。
フォード・サンダーバードの歴史を写真とともに振り返る。

サンダーバード(Thunderbird)という名称は、ネイティブアメリカンの神話に登場する生き物に因んで名付けられた。半世紀以上、全11世代にわたり生産され、その間に生産が停止したのはたったの一度だけ。後期のモデルは初代ほど高く評価されていないが、いずれにしてもサンダーバードは、米国の自動車史における重要な1ページを刻んでいるのだ。

本特集では、そんなフォード・サンダーバードの歴史を前後編にわたって振り返る。

(注:1972年以前のモデルの出力値は、当時の慣例に従い、アクセサリー未装着時の総馬力で表記されている。そのため、現代の基準と比べて大幅に高い数値となっている)

新たなタイプのフォード車

サンダーバードは1954年のデトロイト・オートショーで初公開され、同年中に1955年モデルとして販売が開始された。フォード車としては非常に異例の、2人乗りコンバーチブルのみというラインナップであった。

新たに開発された292立方インチ(4.8L)YブロックV8エンジンは最高出力193psを発生するものの、当時のオープン2シーターであるシボレーコルベットの直接的なライバルとは見なされなかった。フォードはサンダーバードをスポーツモデルとは位置づけておらず、現在では初期のパーソナルカーとして分類されている。

新たなタイプのフォード車
新たなタイプのフォード車

モデルイヤーごとに改良

当時の業界で一般的だったように、サンダーバードはモデルイヤーごとに改良が加えられていった。変更点としては、最大225psを発生する312立方インチ(5.1L)版Yブロックエンジンの追加、細部のスタイリング更新、スペアタイヤを後部に搭載することで実現したトランク容量の増加などがある。

このモデルは1957年に生産終了となった。1982年のコンパクトクーペ、EXPが登場するまで、フォードの2人乗り車は途絶えることになる。

モデルイヤーごとに改良
モデルイヤーごとに改良

4人乗りとなり装備水準も向上

初代サンダーバードはまずまずの売れ行きだったが、フォードはもっと売れると考えた。1958年モデルは「スクエアバード」の愛称で呼ばれ、初のパーソナルラグジュアリーカーと位置付けられた。全長が大幅に延長され、4人乗りとなり、装備水準も向上。従来通りコンバーチブルとクーペのボディスタイルが選択可能だった。

技術面でも重要な進化があった。従来のサンダーバードはボディとシャシーが別体構造だったが、このモデルではボディ自体が車体構造を形成するユニボディ(モノコック)方式を採用した。

4人乗りとなり装備水準も向上
4人乗りとなり装備水準も向上

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

フォード・サンダーバードの栄光と衰退の前後関係

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