【6億円のオーダーメイド】アストン マーティン・ヴィクターへ試乗 848psのNA V12

公開 : 2021.05.29 08:25

あらゆる部分がダイレクト

しかし、そこから先は最高だった。路面は湿っている程度にまで乾き、ミシュランのゴムを少し温められる。ヴィクターの本領へ、一歩近づくことができた。

サスペンションにはゴムブッシュが一切なく、反応は即時的。公道用ではなく、サーキット用のクルマに思えてくる。

アストン マーティン・ヴィクター(欧州仕様)
アストン マーティン・ヴィクター(欧州仕様)

エグゾーストノートは、正直いって過剰。重層的で豊かながら、何よりもボリュームが大きい。シンフォニックな、かつてのフェラーリ製のV12とも違う音響だ。遥かに挑戦的といえる。

1988年から1990年にル・マンを戦ったジャガーのグループCカー、XJR-9のサウンドに近いと感じた。そのクルマにも、7.0LのV型12気筒エンジンが積まれていた。そう考えると納得できる。

アストン マーティン・ヴィクターは、想像していたほど運転しにくくない。あらゆる部分がダイレクトで機械的にも剛性感が高く、現代のどんなモデルにもないフィーリングが得られる。常にクルマのすべてが伝わってくる。

848psもあるから、ストリート用タイヤのグリップ力を打ち負かすのは簡単。アンダーステア傾向は強いが、常に怒涛のV12エンジンのパワーを召喚できる。

アクセルペダルを一気に踏み込んで、片側のタイヤがグリップ力を失っても、もう一方で整えられる。テールの動きは速いものの、挙動は予想が付きやすい。800psのケーターハムのようにドリフトできる、というのは適切ではないかもしれないけれど。

今後手に入らないという悲しい現実

1台限りのヴィクターの試乗を終えて、いくつかの感情が心から湧いてきた。1つ目は、これまでに筆者が運転したことのあるクルマで、最も楽しいと思える1台だということ。

2つ目は、同等に純粋主義的な構成を採用し、より手頃な価格でFRのスーパーカーを生み出せるだろう、ということ。3つ目は、今後それを実現してくれる自動車メーカーは、ほぼゼロだという事実。

アストン マーティン・ヴィクター(欧州仕様)
アストン マーティン・ヴィクター(欧州仕様)

アストン マーティン・ヴィクターの素晴らしさを知るほどに、悲しい現実だ。

アストン マーティン・ヴィクター(欧州仕様)のスペック

英国価格:400万ポンド(6億円/予想)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:321km/h以上
0-100km/h加速:3.1秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1600kg(予想)
パワートレイン:V型12気筒7312cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:848ps
最大トルク:82.9kg-m
ギアボックス:6速マニュアル

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