一度は手放した1989年式『BMW 7シリーズ』 完璧な状態で買い戻せた理由とは 奇跡のようなサプライズ

公開 : 2026.06.09 17:05

英国在住のヴィップ・クカナタンは、1989年式BMW 7シリーズを維持費の都合で手放してしまったものの、売却先のオーナーから買い戻すことになりました。すみずみまでレストアされ、素晴らしい状態で戻ってきたのです。

売った相手からの驚きの連絡

問題:1台のBMW 7シリーズを、2台所有したのと同じことになるのはどんな時?

答え:同じ1台を2度所有し、売却してから買い戻すまでの間に、完全にレストアされていた時。

ヴィップ・クカナタンさんのBMW 7シリーズ
ヴィップ・クカナタンさんのBMW 7シリーズ    AUTOCAR

英国在住のヴィップ・クカナタンさんは、まさにそんな幸運な人だ。彼は2016年、走行距離13万6000kmの1989年式BMW『730i SE』を購入した。4年間乗り続け、英国から南フランスへのドライブ旅行も楽しんだ。しかし、修理費が膨らみ始めたため、2年間は車庫に眠らせておいたものの、2022年にしぶしぶ手放した。

ここまでは珍しい話ではない。多くの人が大型でパワフルなクルマを買い、維持費が重荷になると手放してしまう。

しかし、その後起きたことは驚くべきものだった。昨年、突然、ヴィップさんはクルマを売却した相手から連絡を受けた。相手は海外移住することになり、クルマを持っていけないため、売り戻したいと申し出てきたのだ。ヴィップさんは考え込んだ。3年前にはもう限界寸前だったクルマだ。今やどうなっているだろうか。

1万5000ポンド相当のレストア

「買い戻すことにあまり乗り気ではありませんでした」と彼は言う。「BMW E30 3シリーズを愛車にしているんです。そこに加えて、古びた7シリーズまで欲しいのだろうか?」

その時、電話で相手が言った言葉がヴィップさんの考えを変えた。「完全にレストアしました」

ヴィップ・クカナタンさんのBMW 7シリーズ
ヴィップ・クカナタンさんのBMW 7シリーズ    AUTOCAR

ヴィップさんは当時を振り返り、次のように語っている。

「彼(相手)は施したレストア作業の一覧を挙げていきました。再塗装とセラミックコーティング、内装一新、フロントガラス交換、燃料ラインとポンプの交換、ラジエーター、ホース、ウォーターポンプの交換、インジェクター交換、サスペンション部品の交換、ブレーキラインの交換……。合計で1万5000ポンド(約320万円)を費やしたと彼は言っていました」

「信じられませんでしたよ! 730iは良いモデルですが、ごく普通の7シリーズに過ぎません。しかし、彼は自分の誇りであり、修復に値するクルマだと言いました。当然、いくらで売りたいのか気になりまして……」

相手の男性は、走行距離15万kmのそのクルマをたったの3500ポンド(約75万円)で売りたいと言ってきた。ヴィップさんは深呼吸をした。

実車を見て「その場で即決」

「2016年に5500ポンドで買ったクルマを、2022年に3500ポンドで売ったわけですから、実質的に2000ポンド(約43万円)で1万5000ポンド(約320万円)相当のレストアを提案されているようなものでした」

これで決まりかと思いきや、奇跡を信じないヴィップさんは、懐疑的な友人を連れてクルマを見に行くと言った。その後、ピカピカに輝くBMWを目の当たりにし、レストアの過程を段階的に記録した写真アルバムをじっくりと見たその友人は、もしヴィップさんが買わないなら自分が買うと断言した。

ヴィップ・クカナタンさんのBMW 7シリーズ
ヴィップ・クカナタンさんのBMW 7シリーズ    AUTOCAR

「それで決心がつきました」とヴィップさんは言う。「その場で即決しましたよ」

筆者が地元のカーミーティングでヴィップさんに会った時、彼の真新しい730iのエンジンルームの周りには愛好家たちが集まっていた。彼らは、磨き上げられた巨大なエグゾーストマニホールドを備えた、完璧な直列6気筒エンジンを賞賛していた。

「確かに注目を集めますね。久しぶりにハンドルを握った時、良い意味で以前とはまったく違う感じがしましたよ」

「7シリーズは、メルセデス・ベンツSクラスに対する、よりスポーティな選択肢として設計されました。確かにその通りのクルマですが、同時に非常に快適でもあります」

南フランスへの再訪が近いうちに実現するかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    役職:特派員
    フリーランスのジャーナリストで、AUTOCAR英国編集部の元スタッフ。姉妹誌『What Car?』誌の副編集長や『Practical Caravan誌』の編集長なども歴任した。元自動車ディーラーの営業マンという経験を活かし、新車・中古車市場や消費者問題について幅広く取り扱っている。近年は、これらのニュースや特集記事に加え、アイスクリーム・ワゴンのDIY方法から放置車両の探索まで、さまざまな記事を寄稿している。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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