ミシュランのサステナビリティ戦略と新製品をタイヤの達人が解説(後編) 社会的要請に対するふたつの答え

公開 : 2026.06.10 17:45

ミシュランが『サスティナビリティ戦略アップデートセミナー&新製品試乗会』を実施。いつものタイヤ試乗会とは一味違う体験を、タイヤの達人・斎藤聡が前後編に分けてレポートします。後編は、タイヤ試乗後の解説です。

スローガン=両タイヤの特徴に

ミシュランの『サスティナビリティ戦略アップデートセミナー&新製品試乗会』と銘打った、タイヤを取り巻く環境のワークショップと、新製品試乗会を組みあわわせたユニークなタイヤ試乗会が行われた。

前編では、タイヤを取り巻く社会的要請と、それに対するミシュランの取り組みを紹介。今回は、実際のタイヤのハナシとなる。

パイロットスポーツ5エナジーとプライマシー5エナジーに試乗。
パイロットスポーツ5エナジーとプライマシー5エナジーに試乗。    ミシュラン

試乗が行われた『パイロットスポーツ5エナジー』と『プライマシー5エナジー』は、タイヤ粉塵規制を含めた耐摩耗性向上や、燃料消費低減のための転がり抵抗低減などを踏まえて生まれたタイヤだ。

こうした規制の中から生み出されたタイヤであっても、ミシュランは『環境も、走りも、妥協しない』というスローガンを掲げており、これが両タイヤの特長にもなっている。

また、いずれもパイロットスポーツ5、プライマシー5の後継タイヤではなく、パイロットスポーツ5エナジーはパイロットスポーツEVの、プライマシー5エナジーはeプライマシーの後継モデルとなっている。

では、それぞれのタイヤの印象をレポートしてみよう。

マイルドだが鈍さがないパイロットスポーツ5エナジー

まずは『パイロットスポーツ5エナジー』から。

このタイヤは、『環境性能に優れたハイグリップスポーツタイヤ』をコンセプトに、スポーツ走行に求められる卓越したハンドリング性能に加え、低燃費性能、耐摩耗性能、ウエットグリップ性能の向上が図られた。

ステアリング操作に対する応答がシャープなパイロットスポーツ5エナジー。
ステアリング操作に対する応答がシャープなパイロットスポーツ5エナジー。    ミシュラン

タイヤ転がり抵抗は、全17サイズ中6サイズでAAA、11サイズがAAを取得。ウエットグリップは全サイズbを獲得している。

試乗車はトヨタbz4xに235/50R20 104Y XLの組み合わせ。

まずはパイロットスポーツシリーズを俯瞰した印象でいうと、パイロットスポーツのテイストを残しながら、5よりもマイルドな味付けになっている印象がある。

だからと言って鈍さや緩さがないのが美点。

例えば、スラローム(60km/h設定)でステアリングを切り返した時の、直進付近の手応えが締まっており不感帯が極めて少なく、いつもタイヤがコントロール下にあるという安心感や手応えがある。これは高速道路でのレーンチェンジの修正舵でも、安心感として感じ取れる。

また、ステアリング操作に対する応答もシャープで、少なめの舵角ですいすいとスラロームを走り抜けることができた。

ウエット路面でのグリップ感

驚かされたのは、ウエットハンドリング路。路面をトレッド面がビタッ! と捉えている強いグリップ感があり、ウエット路面だからと言って無暗に舵角が増えることもなく、最小限の舵角で、気持ちよく走ることができた。

強引にペースを上げていってもだらしなく滑り出すようなことがなく、グリップを伴いながら徐々に舵角が増していく。

もっとも、この状況はかなりペースアップしてからの事。その意味でも、安心感がある。

試乗車は車重ほぼ2tある。それでいながら、タイヤがヨレるようなこともなく、その重量を感じさせないくらい、気持ちよくコーナリングできる。

ついでに書き加えておくと、減速時の車速の落ち方が驚くほど少なく、特に低速になってからはいつまでもタイヤが転がっている感覚で、転がり抵抗の少なさを実感できた。

走り終えて、改めて転がり抵抗の少なさとパフォーマンスの高さからくるトータルパフォーマンスの不思議な感覚に見舞われた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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