欧州で発売されるピックアップトラック『いすゞD-マックス』にEV登場 トヨタ・ハイラックスより僅かに優れる航続距離

公開 : 2026.06.10 18:05

いすゞが海外で展開するピックアップ、D-マックスに「EV」登場。2モーターで190psを発揮し、航続は262km。走破性への影響を抑えつつ、積載量と牽引重量はクラス最高水準です。UK編集部が試乗します。

2モーターと66.9kWhで190psに262km

自動車の電動化が進む昨今、商用車メーカーもその変化を無視はできない。走行時のCO2排出量は、減らす必要がある。いすゞも、そんな立場に置かれた1社だ。

欧州で同社が提供するピックアップトラックが、D-マックス。これまでの動力源は1.9L 4気筒ディーゼルターボエンジンのみだったが、新たにバッテリーEVとして、ツインモーター版が追加されることになった。

いすゞD-マックス EV eV-クロス(英国仕様)
いすゞD-マックス EV eV-クロス(英国仕様)

前後のアクスルを個別に電気モーターが駆動する四輪駆動で、最高出力は190psとEVとしては控えめ。最大トルクは33.1kg-mがうたわれ、0-100km/h加速10.1秒、最高速度135km/hという動力性能を得ている。

駆動用バッテリーは、66.9kWh。航続距離は262kmと長くはないが、新しいトヨタハイラックスのEV版は255kmだから、僅かに優れる。急速充電は最大50kWまで。11kWの三相AC充電器も標準で付帯し、コンセントに繋げば最短6時間で満充電にできる。

悪路走破性への影響は最小限

シャシーなどのメカニズムは、基本的にディーゼル版D-マックスと共通。だが、リアサスペンションはリーフスプリングではなく、ドディオン式へ変更されている。

最低地上高と最大渡河水深は210mmと600mmで、ディーゼル版より20mmと200mm低い。他方、ボディが路面と接する角度は、フロントのアプローチで30.5度、リアのデパーチャで24.2度と同値が確保され、悪路走破性への影響を最小限に抑えている。

いすゞD-マックス EV eV-クロス(英国仕様)
いすゞD-マックス EV eV-クロス(英国仕様)

スタイリングも従来どおり。違いといえば、サイドやリアにEVのロゴがあしらわれる程度。英国仕様のボディは、荷台長が1785mmのエクステンデッドキャブと、1520mmへ縮まるダブルキャブの2種類があり、今回試乗したのは後者のトップグレードだ。

最大積載量は1000kgまでで、最大3500kgのトレーラーも牽引できる。負荷が増えるほど、航続距離は短くなるが。

パドルで調整できる回生ブレーキ

キャビンも、通常のD-マックスとほぼ同じ。だがEV版では、回生ブレーキの効きを調整できるパドルが、ステアリングホイール裏に備わる。タコメーターは、エネルギーの消費・回生状況を示すパワーメーターに置き換わっている。

ヒーター内臓レザーシートが標準で、樹脂製の部品はどれも頑丈そうだが、内装が高級なわけではない。やや旧式感のあるタッチモニターは8.0インチで、メーターモニターは7.0インチ。スマホとの連携は、無線で対応する。ハンドブレーキは手動のままだ。

いすゞD-マックス EV eV-クロス(英国仕様)
いすゞD-マックス EV eV-クロス(英国仕様)

運転支援システムは、アダプティブ・クルーズコントロールや車線維持支援などを利用できるが、後者の反応はやや過敏。ドライバー監視機能は、必要時以外に警告を発せず好ましい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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