【都会的】ジープ・コンパス試乗 ラングラーほどコアではなく、でもアメリカン臭ほしいあなたへ

公開 : 2021.07.07 05:45  更新 : 2021.10.11 14:49

9速ATが効く リミテッドの味付け

まずは最高級グレードのリミテッドからだ。

シャシーはレネゲード用をモディファイしたものだが、とてもガッシリとしたSUVらしい重量と剛性を感じさせる。

ジープ・コンパス「リミテッド」
ジープ・コンパス「リミテッド」    神村 聖

とはいえ車重は1600kg(ロンジチュードは1490kg)とこのサイズのSUVとしては標準的か軽量である。

サスペンションは前後ともストラット式で、これがなかなか締まったフィーリング。

首都高のS字カーブが連続するようなシチュエーションでもあまりロールは感じさせず、フラットな姿勢で路面に張り付いたようにコーナリングする。

4WDだがオンデマンド式なので都内での走行ではほとんどFFと考えて良い。

リミテッドは4WDゆえにオフロード性能が強化されていて4WDロックや4WDローがボタン1つでチョイスできるセレクテレインシステム、ジープ・アクティブドライブ、ヒルディセントコントロール、18インチアルミホイールなどが装備されている。

アクセルを踏み込めば比較的エンジン回転を上げ気味で9速ATらしい次々にシフトアップして加速してゆく。

全開にすれば継ぎ目を感じさせない高回転シフトアップによってスムーズな加速だ。

つまりリミテッドはエンジンの比較的高い回転域を使って走る。これは9速ATのシフトマネージメントによるところが大きい。

ロンジチュード 軽快で優しい乗り味

もう1台のロンジチュードはFFで6速AT。こちらはリミテッドよりも約110kg軽い。

そのことを如実に感じるのは停止状態からアクセルを踏み込んで加速した瞬間。

ジープ・コンパス「ロンジチュード」
ジープ・コンパス「ロンジチュード」    神村 聖

6速ゆえに1速での守備速度域が広い。

つまり各ギアでできるだけ引っ張ってゆくタイプ。

軽量(1490kg)であることと低回転域からでもしっかりとトルクが出ているので加速感は逆にリミテッドよりも速いのではないか? と感じるほど。

また、リミテッドが18インチで55%扁平タイヤであるのに対してロンジチュードは17インチの60%扁平タイヤ。

そのためタイヤのエアボリューム分乗り心地が優しい。路面の継ぎ目などを通過する時にも突き上げや振動感が少ないのだ。

メルセデスのSUVが生涯オフロードを走行する距離は平均して10%にも満たない、というレポートを目にしたことがある。

逆に0%というユーザーも居るはずで、ロンジチュードのチョイスは価格(385万円)を含めてかなりリーズナブル。

リミテッドと比較して、レザーシートやサラウンドビューカメラの有無以外にそれほど大きな差はないのだ。

オフロードに興味がないのであればロンジチュードのチョイスはかなりおすすめである。

ジープの安全装備でユニークなのは前車追従が可能なACCとただのクルーズコントロールの2種類が装備されている。

普通に考えるとクルーズコントロールは必要ないように思われるが、ACCはギャップの多い路面などではミリ波レーダーが障害物とミスジャッジして急ブレーキをかけてしまうことがある。

米国は舗装路でも日本では想像できないほど路面が荒れているもの。環境の違いがACCのみにしないのではないかと考える。

また、アクティブレーンマネージメントはややお節介ではあるが車線からの逸脱を予防してくれる。

ラグジュアリーに成長したコンパス。

欧州系とは明らかに異なるアメリカンなSUV臭は個性があって魅力的だった。

記事に関わった人々

  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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