アウディA3カブリオレ 1.4TFSI

公開 : 2014.03.14 23:20　　更新 : 2017.05.29 18:18

■どんなクルマ?

新しいアウディA3カブリオレは、4人のための適切なスペースを持ち、新しいアーキテクチャーを得たファブリック・ルーフのオープン・モデルだ。そのボディ強度が先代よりも明らかに強固になっていることは、最高50km/hで開閉が可能なルーフを閉じた時にはっきりとわかるはずである。

また、先代よりも長さのバランスが絶妙となったスタイルはエレガントさすら感じるもの。古いカブリオレよりも183mm長いだけでなく、28mmも広くなり、ホイールベースも控えめながら17mm長くなっている。トレッドの拡大は、MQBアーキテクチャーの採用に基づく。

ブートスペースも拡大している。ルーフが上がっている状態では320ℓ、そしてルーフが格納されている時でも275ℓのスペースを持つ。また、そのルーフの開閉は電動で僅かに18秒で行われる。

カブリオレ専用の装備としては、ネック・ウォーミング・シート・ベンチレーションが加えられている。

エンジンは、3タイプが搭載される。ここでテストした140psのアイドリング・ストップを持つ1.4TFSI、180psの1.8TFSI、そして150psの2.0TDIだ。トランスミッションは、6速マニュアルがスタンダードだが、7速のSトロニックも用意されている。

1.4TFSIはA3カブリオレのセールスの30%と予想される。そのCO2排出量は、2.0TDIの110g/kmにはかなわないものの、114g/kmをマークする。

ハッチバック・モデルのA3と同様に、サスペンション・セッティングは3つから選ぶことが可能だ。10mm低いスポーツ・サスペンションと19インチ・ホイールというのがトップ・クラスの組み合わせだ。しかし、今回の試乗車は18インチ・ホイールを装着していた。

■どんな感じ?

荒れた2級国道を40km/hで走っても、フロント・ウインドーの枠とルーフがきっちりと収まっていることからも、このカブリオレが必要とされる強度を持っていることが理解できる。もし、通常のカブリオレ・モデルであれば、フロント・ガラスが激しく躍ることも珍しくはないからだ。

但し、オープン・トップ・モデルが、完璧にサルーンと同じ強度を持つかといえばさすがにそうではない。ステアリング・ホイールには微かな振動が感じられるし、とりおりボディが揺れるのも感じられる。しかし、それでもカブリオレ・モデルとしては合格点以上のボディ剛性だ。

このA3カブリオレは、スポーツカーのように力強いクルマではない。それでも、エンジンはレブリミットの6300rpmまでかっちりと回る。この1.4ℓエンジンは、アウディの職人気質が感じられるエンジンだが、高回転型では決してなく、むしろミッド・レンジでの力強さが印象的だ。もちろん、A3をクルーザーとして走らせるだけのパフォーマンスは充分に兼ね備えている。もし、よりトルクフルでスムーズなパワー・ユニットを望むのであれば、この1.4TFSIではなく2.0TDIモデルを選べば良いだけだ。

あとはワンタッチのスイッチで4つウインドーをすべて解放すれば、オープン・モデルならではの開放感が味わえる。決して風が強くあたるわけでもなく、満足のいくリラックスしたドライブが可能だ。

リア・シートもフロント同様快適なドライブが楽しめる。しかし、充分なスペースが確保されている割には、バックレストがあまりにも寝かされすぎていて、オープン・モデルならではのフィーリングが少しばかり失われるのは残念なところだ。

ルーフを閉めると、設えのよいヘッドライニングによってドライバーは保護される。速度が高くなると、わずかにルーフの唸りが多少感じられる程度だ。インテリア自体は、A3ハッチと同様に論理的なレイアウトがされ、高い精度のフィニッシュがされている。

■「買い」か?

もし、金銭的に余裕があるのなら、ミッドレンジでのトルクの多い2.0TDIがベストバイかもしれない。しかし、1.4TFSIでも充分すぎるほどのオールラウンダーである。しかも、この1.4TFSIは、アイドリング・ストップという秘密兵器も備えている。

(リチャード・ブレムナー)