【売れ行き倍増】三菱エクリプス・クロス 地味に最近「売れている」背景

公開 : 2021.08.19 05:45  更新 : 2021.10.22 10:07

なぜ異様な伸び幅を見せている?

2021年1~7月におけるエクリプス・クロスの登録台数は、1か月平均で843台だ。

対前年比は220%に達した。前述のとおり2倍以上の売れ行きだ。

三菱エクリプス・クロスPHEV
三菱エクリプス・クロスPHEV

それなら2020年1~7月の対前年比はどうだったかといえば、50%の半減であった。

つまりエクリプス・クロスの過去3年間の売れ方は以下のようになる。

エクリプスクロスの1か月平均登録台数

2019年1~7月:767台
2020年1~7月:384台(対前年比50%)
2021年1~7月:843台(対前年比220%)

2021年は2019年に比べると110%

「前年の前年」の数字にも注意

2021年の登録台数を対前年比で見ると、2倍以上に達して凄いと思うが、その理由として前年が大きく落ち込んだことも挙げられる。

2020年1~7月の対前年比はわずか50%であった。

三菱エクリプス・クロス
三菱エクリプス・クロス    三菱

したがって2019年の767台と、2021年の843台を比べると110%だから、驚くほどの増え方ではない。新たにPHEVを設定したことを考えれば想定の範囲内だ。

そして2020年1~7月が半減した背景には、コロナ禍による外出の自粛と、マイナーチェンジを控えたことによるバリエーションの削減があった。

2020年4~6月は国内販売全体が大きく落ち込み、7月以降は回復に転じたが、エクリプス・クロスはマイナーチェンジを前提に受注を減らしていた。

つまり2020年のエクリプス・クロスは、中盤はコロナ禍、後半はマイナーチェンジという2つの理由で、売れ行きを50%まで下げた。

そのために2021年は対前年比が急増したのだ。

このようなモデルチェンジが関係する対前年比の乱高下は、時々見受けられる。

分かりやすいところでは、2021年7月のヴェゼルは、対前年比が258%だった。

現行ヴェゼルは2021年4月に発売されたので、前年の7月はモデル末期の状態にあり、対前年比は58%に落ち込んでいた。

その反動とフルモデルチェンジの相乗効果で、2021年7月の対前年比は2.6倍に達した。

ヴェゼルの過去3年間の登録台数は、2019年7月:5058台、2020年7月:2935台、2021年7月:7573台だ。

2021年は前年と比べれば258%だが、2019年との比較では150%にとどまる。新型車としては普通の、あるいは少し物足りない増え方だ。

以上のように対前年比を見るときは、「対前年比の対前年比」も確認する必要がある。そうしないと売れ行きの急増や急減を誤解しやすい。

エクリプス・クロスに話を戻すと、共感を得るクルマづくりをおこなって顧客の支持も厚いが、それと同時にマイナーチェンジ前の減少も大きく響き、2021年の登録台数を押し上げた。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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