【じっくり見たい】NSXタイプS日本仕様 これでホンダNSXは終わりなのか?

公開 : 2021.08.30 11:42  更新 : 2021.12.13 21:20

タイプS どこが変わったか

DCTはパドルホールドダウンシフト機構を搭載。減速時に左側のパドルを0.6秒引き続けると、瞬時にもっとも低い適切なギアまで落とす。適切なギアを素早く選べるので、次の加速がスピーディに行えるという説明だ。

加えてサウンドも操作や挙動との一体感を目指してチューニングしたという。

NSXタイプS(内装色:オーキッド、OPのセミアニリンフルレザー/アルカンターラなどを選択)
NSXタイプS(内装色:オーキッド、OPのセミアニリンフルレザー/アルカンターラなどを選択)    前田恵介

サスペンションはアクティブ・ダンパー・システムの減衰領域を拡大した。クワイエット/スポーツ/スポーツ+/トラックの4つの走行モードが選べるインテグレーテッド・ダイナミクス・システムは、タイプS専用にこのダンパーや電動パワーステアリング、AWDの駆動配分制御の見直しを行っている。

タイヤサイズはフロント245/35ZR19、リア305/30ZR20で変わらないが、銘柄はピレリPゼロをチョイス。専用の鍛造アルミホイールはオフセットを変えることで、前後ともにワイドトレッド化した。

ボディは全長のみ45mm伸ばされている。大きく変わったのはフロントで、ノーズが低く長くなり、エンブレムは小型化されて先端に移った。

バンパーは開口部が広がるとともに、エッジを強調した造形になり、下端にはリップスポイラーを追加。ブラックがグロスからマットになったこともあって、かなり精悍になった。

リアは大型化されたカーボンファイバー製大型ディフューザーが目立つ。これに合わせてバンパーのデザインも変わっている。サイドはリアタイヤ直前のタイプSのロゴ、前述した専用の鍛造アルミホイールが特徴。タイプSのロゴはエンジンルーム内のシリアルナンバーを刻んだプレートにも入る。

次世代スポーツカーの行方

ボディカラーは10色で、撮影車両のカーボンマットグレーメタリックとロングビーチブルーパールが新色になる。日本で販売するホンダ車にマットカラーが採用されるのは初めてとのことだ。

ピラーやセンターコンソールなどにアルカンターラをおごったインテリアも精悍になった。シートカラーは新色になったレッドのほかエボニー、撮影車両のオーキッドを用意。ヘッドレストにNSXのロゴが入ることも独自になる。

NSXタイプS(カーボンマットグレーメタリック)
NSXタイプS(カーボンマットグレーメタリック)    前田恵介

カスタムオーダーの内容は標準車と共通で、4色のキャリパーが選べるカーボンセラミックブレーキローター、カーボンファイバーエンジンカバー、ブラックアルカンターラのルーフライニングなどがある。

これがNSXタイプSの概要だが、もうNSXはこれで終わりなのか、が気になる人もいるだろう。

筆者も同じ気持ちだったので井上氏に尋ねると、NSXという車名になるかは不明であり、内容についてもわからないが、スポーツカーは続けていきたいという返事が返ってきた。

言葉を濁したりしなかったのは、社内での方針がある程度定まっているからではないだろうか。

ホンダの現在の方針からすれば、エンジンは搭載されない可能性が高いが、現行型の電動化技術は役立つはず。ともあれホンダがスポーツカーを諦めたわけではないことはわかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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