ジャガーFペイス 詳細データテスト 内装の質感は大幅に向上 サイズのわりに上質な走り 価格は高め

公開 : 2021.12.11 20:25

走り ★★★★★★★★★☆

Fペイスのラインナップにおいてはかなりヒエラルキーの高いP400eだが、パフォーマンスモデルほどのスペックはない。最高出力は404ps、最大トルクは65.3kg-mあるが、なにしろウェイトが2.2tを超えるので、加速のペースはやや速い仕様といったところだ。実際、0−1.6kmの直線加速はアウディのラインナップ落ちしたV6ガソリンを積むSQ5よりわずかに速いだけだった。

それよりもみごとだったのは中間加速である。これは、低速から強力にクルマを引っ張る電気モーターがフレキシビリティをもたらすからだ。32km刻みで計測したタイムは、アウディと同等か、それを大きく引き離す結果となった。もっとも、同じようなギア比のトランスミッションでありながら、ジャガーのほうがファイナル比を低く設定していることの影響は無視できない。

重量があるので、爆発的な加速は望めないが、中間加速は強力なモーターと低いファイナル比のおかげで優秀なスコアをマークした。EV走行は、街乗りなら十分に力強い。
重量があるので、爆発的な加速は望めないが、中間加速は強力なモーターと低いファイナル比のおかげで優秀なスコアをマークした。EV走行は、街乗りなら十分に力強い。    WILL WILLIAMS

主観的にみれば、じつに速く感じられるのだが、爆発的というほどではない。その理由は、ひとえに動かすべき重量の大きさにある。そうはいっても、走りはほぼシームレスで、ドライビングは気持ちいい。

2.0L直4というのは、プレミアムなサウンドを味わえるエンジンとは思えないかもしれない。ところが実際には、かなり洗練されている感じだ。事実、ハードに加速した際に耳へ届くのは、スピーカーからかすかに伝わる、V8の唸りを再現した合成音だけだ。その手のまやかしはジャガーに相応しくないと眉をひそめるかもしれないが、本当に微かなものなので耳障りではない。

エンジンと電気モーターはいずれも、おなじみのZF製8速トルコンATと機械式クラッチがベースの4WDシステムへ駆動力を送る構造だ。そのため、EVモード時にも電気式4WD車のような二輪駆動になることはない。

ハイブリッドモードでは、トランスミッションは素早くも控えめに変速し、パワーユニットがトルキーなおかげで、エンジンにストレスがかかっていると感じさせられることは決してない。

低速域ではごくまれに、エンジンとモーターが噛み合わないことがあり、エンジンがかかるとややよろめくような動きをみせるが、全体的な走りに影響するほどではない。

公称燃費は42.9km/Lというが、PHEVの例に漏れず、これほどの低燃費を実現できるのは可能な限り電力のみで走行した場合だけだ。電力走行にすると途端にだらしなくなるPHEVもあるが、P400eはモーター出力が143psあるので、センターコンソールのボタンでEVモードを選んでも弱々しいと感じることはない。

街乗りの速度域なら、ゼロエミッション走行でも実用に十分適うパフォーマンスを発揮してくれる。モーターの力不足にいらだつことはないだろう。EVモードでの高速走行も可能だ。とはいえ、エンジンをかけずに100km/h以上で走り続けると、すぐにバッテリーが尽きてしまう。

ジャガーでは、フル充電で53.1kmの電力走行ができるとしていて、市街地をゆったり流していればそれに近い距離を走れると思われる。しかし、テストでさまざまな走り方をした際には、38.6kmが限界だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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