レクサスNX 新登場のPHEVは、身内のSUVとどんな差があるのか? 「NX450h+」試乗

公開 : 2021.12.11 20:45

レクサス初のプラグインハイブリッド「新型NX450h+」。RAV4 PHVとは少々スペックを変えて、ボディ補強、NVH対策を強化。試乗して確かめます。

エンジン出力、RAV4 PHV超え

レクサスのSUVラインナップはUXからLXまで4モデル。

RX以外には、ベースプラットフォームを共用するトヨタブランドモデルがあり、試乗したNXの場合はGA-Kプラットフォームを用いるRAV4/ハリアーと姉妹車、異母兄弟車くらいの関係を想像すればいいだろう。

レクサスNX450h+ Fスポーツ(新規設定色のソニッククロム)
レクサスNX450h+ Fスポーツ(新規設定色のソニッククロム)    上野和秀

車体骨格の基本構成は同様なのだが、そこはレクサス品質。

補強部材の付与や変更、溶接打点の倍増、振動吸収材の増加など、全身に渡ってアップグレードが施されている。

軽量化を進めてもなおトヨタ系姉妹車よりも重量が増加しているのはそのためだ。

試乗車のNX450h+系は、NXに設定されたパワートレインでは最上位の位置付けとなるPHVシステムを採用。

スプリット式ハイブリッドをベースに前後軸独立駆動電動4WD、HV用バッテリーの大容量化と外部充電機構の採用。構成はRAV4 PHVと同じだが、エンジン出力をパワーアップしている。

外部充電は普通充電のみ対応。満充電のEV走行距離はWLTCモードで88km(235/50R20装着車)。

走行距離に対して暖機稼働の頻度が高く、低負荷走行が主となる日常用途で効率が低下しやすいのがハイブリッドの弱点。(編集部追記:そうした自宅出発の短距離用途が中心となるなら)それをエンジン暖機しないEV走行でカバーするのがPHVの主眼であり、急速充電に対応していない理由の1つ。

現実的な用途において最高効率を求めた設計とも言える。

「450」の意味 踏んで確認

グレード名は4.5L相当の動力性能を示しているが、いたずらに昂揚感を煽るタイプではない。

紳士的あるいは「量より質」という特性であり、操り心地のよさや、速度・勾配に影響を受けにくい余裕が印象的だった。

レクサスNX450h+ バージョンL(ブラック)
レクサスNX450h+ バージョンL(ブラック)    上野和秀

低中速では電動が力強い。

シリーズ式とパラレル式を合体させたような制御を行うスプリット式を用いているが、低中速域ではシリーズ式に近い。

もちろん、蓄電量に余裕があればEV走行モード、つまり純電動走行なので当然だが、HV走行モードでもドライブフィールの変化はほとんどない。

ペダルコントロールに即応する加減速。駆動トルクの滑らかさがあり、低中速での頻繁な加減速でも扱いに神経質になる必要はない。

こういった扱いやすさが、高速域や山岳登坂路まで持続する。

走行負荷が大きくなってもペダルストロークが殊更に深くなることもない。

深く踏み込んだ時の加速の上乗せは速度域の上昇とともに穏やかになるのだが、高速域に至ってもあり余るほどの加速を示す。

性能チェックのために全開加速をしたものの、一般的に言う「急加速」など7分目も踏み込めば十分。長々と全開加速するような状況はほとんどないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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