ジャガーFペイス 詳細データテスト 内装の質感は大幅に向上 サイズのわりに上質な走り 価格は高め

公開 : 2021.12.11 20:25  更新 : 2021.12.17 16:09

内装 ★★★★★★★★☆☆

2016年時点でさえ、Fペイスのインテリアは、大きな弱点のひとつだった。やや個性に欠け、マテリアルの質感は可も不可もない程度。インフォテインメントシステムは、最高レベルからかなり引き離されていた。

モデルライフ途中でのリフレッシュで、マルチメディアシステムの刷新やライトのデザイン変更が行われるのは珍しくない。しかし今回は、内装がほぼすべて作り替えられたといっていいほど手直しされている。

テストした上級モデルのRダイナミックHSEに関していえば、この思い切った改修は正しい判断だったと思える。というのも、乗り込んでみると、室内にはまったく違う世界が広がっていたからだ。もちろん、いい意味で。

デザインはモダンだが高級感があり、マテリアルの質感はどこをとってもすばらしい。実用性も改善されている。センターコンソールにはスマートフォンの充電トレイと十分なサイズのアームレスト、ドリンクホルダーや小物入れが備わる。さらに、その下にも収納スペースが設けられ、ミニバンもかくやというスペース効率をみせる。

エアコンパネルはモダンで、いかにも高いクルマのそれといった見栄えだが、使いやすさもないがしろにされていない。そのバランスは上々だ。温度と風量、シートのヒーターとベンチレーションは、ふたつのダイヤルを押したり引いたり回したりして調整し、それ以外の操作はタッチパネルで行う。

そのタッチパネルのスイッチはかなり強く押さないと反応しないのが難点だが、少なくとも温度調整が実体ダイヤルで楽に調整できるので、さほど不自由には感じない。

FペイスのポジショニングはスポーティなSUVで、万能性や高級感、悪路走破性を重視したランドローバーの各モデルとは性格づけがこれまでどおり異なる。そうではあるのだが、はじめて乗り込むとシートの高さに驚かされる。シートは快適で広い調整幅を持つのだが、背の高いドライバーが後ろ寄りにスライドさせると、ステアリングコラムのテレスコピック量に不足を覚えるかもしれない。

スポーツシートとはいえ、速いコーナリングではやや横サポートに欠けるが、その点は、よりサイドの張り出しが大きい無償オプションのパフォーマンスシートを選ぶ、という解決策が用意されている。後席スペースは、同じセグメントのライバルと十分に渡り合える。

後付けされたプラグインハイブリッドシステムの弊害は、荷室が被っている。フロア下のスペースがバッテリーに占領されたため、P400eの積載容量は他グレードに比べて128L目減りしている。もう少しいいやり方があったかもしれないが、メルセデスには大きな段差ができてしまっているモデルもあるので、それに比べれば悪くない。

フロアはほぼフラットだが、テールゲート寄りの30cmほどはスロープになっている。そうすることで開口部との段差は打ち消されているが、大きさや形状によっては荷物が転がり落ちてしまう原因にもなりうる。積み込んだものが散らばらないよう、開閉時には注意が必要だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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