ジャガーFペイス 詳細データテスト 内装の質感は大幅に向上 サイズのわりに上質な走り 価格は高め

公開 : 2021.12.11 20:25  更新 : 2021.12.17 16:09

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

スポーティなSUVというものに矛盾を感じているのなら、プラグインハイブリッドシステムの搭載でウェイトの増したこのクルマが、ハンドリングにおけるその意見を覆すことはできないだろう。しかしながら、テスト車は2.2tを超えるものの、そのコーナリングはなかなかに優雅だ。

英国のカントリーロードにおいて、その重量はもちろん、ミラー込みで2mを超える全幅も意識せずに運転できることは決してない。どこまで行っても、大きすぎて心から一体感を味わうことはできない。

チャレンジングな道でクルマとの一体感を味わうには、Fペイスは重すぎる。それでも精密な位置決めができ、グリップは強力で、ロールがうまく抑えられているので、ドライビングを楽しめる。
チャレンジングな道でクルマとの一体感を味わうには、Fペイスは重すぎる。それでも精密な位置決めができ、グリップは強力で、ロールがうまく抑えられているので、ドライビングを楽しめる。    WILL WILLIAMS

また、比較的しなやかなサスペンションと重い車体は、いったん進行方向を決めた後でも修正舵を必要とする。そのため、進路変更にはわずかながら遅れが発生する。

そうはいっても、ステアリングの手応えはよく、ギア比の設定も入念。コーナーで負荷が高まれば、少ないながらもフィードバックが感じられる。テスト車が履いていたのはグリップが足りないオールシーズンタイヤではなく、265セクションのコンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5だったので、旋回時の踏ん張りはかなりのものだった。

しかもP400eは、アダプティブダンパーが標準装備で、ダイナミックモードに設定すればロールをきっちり抑えてくれる。こうしたすべての要素により、穏やかで性格な入力をすれば、速度が乗っていても自信を持って走行ラインを決められる。

ファンなクルマとはいえないかもしれない。しかしこの手のクルマとしては十分なほど、走り甲斐のある道を飛ばすのが楽しい。

スタビリティコントロールのチューニングは、このFペイスの質量をおおむねうまく制御しているので、これをカットすることはおすすめしないが、ミルブルックの峠道を模したテストコースではその限界が露呈した。

多くのSUVで、ハイスピードでのコーナリング中に突然スロットルをオフにすると、スタビリティコントロールは軽いパニックを起こすことがある。それはこのFペイスも例外ではなく、唐突にフロントの片側だけブレーキがかかってしまう。

それ以上に驚かされたのは、車体が大きく沈み込んだ際に、2度ばかり強烈なブレーキングをしたことだ。思い当たるような理由はないのだが、それでも1度などは右前輪がロックするほどだったのである。

たしかに、そのときクルマには負荷がかかっていたのだが、こうした唐突で予期できない不要な介入は、最新のクルマならあるべきではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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