BMW 428i グランクーペ

公開 : 2014.05.24 22:45  更新 : 2017.05.29 17:59

■どんなクルマ?

BMW4シリーズに3番目に加えられたモデル、それが4シリーズ・グランクーペだ。

つい最近デビューした4シリーズはプレミアム・クラスの中で、考えうるだけの派生グレードを投入するまさにニッチ・モデルといえるだろう。

4シリーズにおける、クーペとコンバーチブル、そして今回紹介するグランクーペは同じシャシーを共有する。では何が違うかというと、それは上に被さるボディの方で、ボディ・デザインに差異を持たせることにより、異なった購買層にアピールしているのだ。

外観を一通り眺めていくと、非常に受けの良かった4シリーズのデザインを意識的に踏襲していることが分かる。とくにフロント周辺はクーペに施されたデザインが色濃く残り、ほかの部分のディテールにもほとんど大きな違いはない。

目で見てわかる違いはBピラーより後方で、昨年イギリスで発表された6シリーズ・グランクーペ同様にサッシュレス・ドアが採用さている。ただし高価でサイズの大きい6シリーズのトランク形状とは異なり、この車はハッチゲート形式を採用する。したがってアウディ・A5スポーツバックのような実用性を兼ね備えているのである。

その結果、3シリーズと並ぶ480ℓものトランク容量を手にし、60:40の分割式のシートを折りたためば1300ℓにまで拡大される。

なおイギリスでは4シリーズ・クーペと同じく、ガソリン・エンジンもしくはディーゼル・エンジンに標準で6速MTが組み合わされる。またオプションで8速ATを組み合わせることも可能だ。

■どんな感じ?

なんといってもまず目につくのは、4ドアのこの車に適度なスポーティーさと、美しいプロポーションが見事に融合している点だろう。

その上、4シリーズ・クーペとのサイズ上の差が無い分、動力的な振る舞いもレベルが高く満足できる仕上がりなのだ。

ただし、これほどまでに美しく纏め上げられたエクステリアに対し、残念ながらインテリアに対する印象は希薄だ。というのはドライビング・ポジションや、全方向の視界には優れているのだが、安っぽく見えるプラスチック素材やスイッチを多用しすぎているからである。だけれども、やはり取り回しに優れる4枚のドアのおかげで優れた実用性を持っているため、これらの問題は相殺されると考えてもいいだろう。

装備品は4シリーズのそれと同等で最も安価なグレードの場合は、キセノン・ヘッドライト、フロント/リア・パーキング・センサー、デュアル・エアコン、ヒート・シーター、車速感応式サーボトロニック・ステアリング、6.5インチ・モニターが用意される。

イギリスではディーゼル・エンジンとの組み合わせが最も多く売れると予想されるが、スペインではガソリン・エンジンのモデルを販売するようだ。2ℓ4気筒ターボはデビューしてそこそこの年数が経ったものの、僅かながらの改良が加えられて428iグラン・クーペに組み合わされる。今回テストした車両のようにオプションの8速ATを組み合わせることも可能だ。

35.7kg-mのトルクは1200-5000rpmで発生するため、低速時に力不足だと感じることはないし、また中速域でもその柔軟性を感じることができる。公表値を参考にすると、0-100km/hにかかるタイムは、マルチトロニックCVTを組み合わせたアウディA5スポーツバック 2.0 TFSIよりも1秒早い6.1秒となる。

アクセルを強く踏んでみる。耳に届いてくるエグゾースト・ノートは心地よく、反比例するかのようにメカニカル・ノイズは絞り込まれていく。また8速ATのギア・レシオも実に的確で、”美味しい”回転数を常に引き出してくれる。さらに興味深いことにBMWは今回のモデルにもサウンド・シンセサイザーを設けたことにより、スピーカーからはいつものBMWのエンジン音よりもさらに聴き心地の良い音を耳にすることができる。

BMWのドライビング・パフォーマンス・コントロールは、標準装備として用意されているためどのグレードを購入したとしてもドライブ・モードをエコ・プロ、コンフォート、スポーツ、スポーツ・プラスの4つから選ぶことができる。

コンフォート・モードに切り替えて走行した際のハンドリングは軽すぎる上に、復元力にやや欠ける。もし、より重みのある手応えを得たい場合はスポーツ・モードを選択することをおすすめする。走行時のダンピングも同様にコンフォート・モードでは少々煮え切らない印象で、スポーツ・モードにすると好ましい動作をしてくれる。

スポーツ・モードで走行し続けると428i グラン・クーペは非常に快活でエンターテイメント性に優れた走りをしてくれる。これらは、(決して安くはないが)オプションの225/35R19のフロント・タイヤと225/40R19のリア・タイヤ、並びに50:50の重量配分に起因するものと考えられる。さらに、電気式スタビリティ・コントロールは気合の入ったドライビングをする際には適度なオーバーステアを許してくれる。

ただし、大きめのタイヤ・ノイズと垂直方向の入力に対するボディの揺れは残念でならなかった。

■「買い」か?

もしBMW 3シリーズを候補として考えているならば、4シリーズ・グラン・クーペも考えてみる価値はありそうだ。基本構造を共有する兄弟モデルに比べて目立った部分でのアピールポイントには今ひとつ欠けるけれど、大きく開くリア・ハッチは想像以上に使い勝手がよかった。

それに、美しく仕立てられたボディ・デザインを見ていると、ずんぐりとした3シリーズ GTより40ℓ荷室容量が少ないと言えども、たかが40ℓとさえ思えるのだが。

(グレック・ケーブル)

BMW 428i グランクーペ

価格 £32,820(486万円)
最高速度 250km/h
0-100km/h加速 6.0秒
燃費 15.9km/ℓ
CO2排出量 154g/km
乾燥重量 1510kg
エンジン 直列4気筒1997ccターボ
最高出力 245ps/5800rpm
最大トルク 35.7kg-m/1200rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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