タイサンR32 GT-R、3900万円超え チューニングカーと明暗わけたBHオークション×東京オートサロン 結果一覧

公開 : 2022.01.25 12:12  更新 : 2022.01.25 12:21

BHオークション×東京オートサロン2022に出品された全8台の結果を振り返り、考察します。

BHオークション×東京オートサロン

BHオークションによる「東京オートサロン2022コレクションカー・オークションが開かれた。

これまで7回開かれてきたヤフー・オークション内で開催されてきたコレクションカー・オークションの8回目となる。

3000万円超で落札で落札されたタイサン・クレッパーGT-R。
3000万円超で落札で落札されたタイサン・クレッパーGT-R。    BHオークション

これまでのオークションとの違いは、「東京オートサロン」とのジョイントにより、オートサロンを象徴する車両が出品され、なおかつ会場内に出品車を展示して確認できたことだ。

今回は東京オートサロンを象徴する車両であるトムス・スープラ・ツアラー、ブリッツ・スープラ・ワイド、トップシークレット・スーパーGT-Rが用意された。

そこにタイサン・スターカードF40、タイサン・クレッパーGT-R、ジムゲイナー・フェラーリ360/F430バージョンという3台のレーシング・マシンが目を惹く。

このほかタレントのヒロミさんがプロデュースしたフレックス・ハイエース車中泊仕様と、リバティーウォークの看板車と言える「取扱注意カラー」のムルシエラゴをキッズカーで再現した8台が用意された。

キッズカーが驚きの額で落札

オークションは1月23日の20時過ぎに終了とされたが、その中で最も人気を集めたのがリバティーウォーク特製のムルシエラゴ・キッズカーだった。

「オーバフェンダー」と「シャコタン」を追求するリバティーウォークのエッセンスで製作され、「取扱注意」のカラーリングで仕立てられたキッズカーは、強烈なオーラを放っていた。

LB キッズカー・スペシャル・バージョン
LB キッズカー・スペシャル・バージョン    BHオークション

リバティーウォークが手掛けたスーパーカーに憧れるファンにとっては、キッズカーとはいえエッセンスが再現された超現実的なムルシエラゴは見逃せない存在といえた。

今回はリバティーウォークの加藤渉代表の粋な計らいで、チャリティ企画として1円スタートとされた。落札金額から経費を差し引いた額が交通遺児育英会に寄付される。

1月19日にオークションがスタートした数時間後には入札が入り、そのあとも入札が続きウォッリストは終了時で529にも達し、注目度の高さを物語っていた。

最終的に288もの入札があり、100.98万円で決着がついた。

本物のグループA R32GT-R

近年、日産スカイラインGT-R(R32)が高騰しているが、全日本ツーリングカー選手権で使用されたグループA仕様のレーシング・バージョンとなると、まず流通することがない幻の存在といえる。

こうしたなかで今回出品されたタイサン・クレッパーGT-Rは貴重な1台で、1991年シーズンを高橋健二と「ドリキン」こと土屋圭一のドライブで闘ったマシンそのだからだ。

タイサン・クレッパーGT-R
タイサン・クレッパーGT-R    BHオークション

歴戦の傷跡を示す当時のままのカラーリングや、タイサン独自の水冷式ブレーキ冷却システムがそのまま残されるなど、もはや日本のレース界における歴史的文化遺産といえる。

現在エンジンはグループN用が搭載されているが、市販車と異なるニスモ独自のシャシー・ナンバーからも本物のグループA仕様であることが窺い知れる。

ウォッチリストが最大表示を超える

ヤフー・オークションで注目度を現す目安がウォッチリストだ。

通常は人気アイテムでも多くて200を超える程度にとどまる。

しかし、出品されたタイサンGT-Rは初日こそ111だったが、22日には969に達し、最終日は最大表示の999を超えてしまい「999以上」と表示されるほどの注目を集めた。

オークションは出品翌日に初入札があったが、ヒートアップしたのが23日の終了間近になってから。

この時点で3062.95万円だったものが、2人の競り合いが続き20分延長の激戦の末3901.81万円で決着がついた。

なおチーム・タイサンが使用したもう1台のR32 GT-Rは日産ヘリテージ・コレクションに収蔵されており、販売されるのはこの1991年仕様だけに高額で落札されたといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

関連テーマ

おすすめ記事