最新高級EV対決 前編 電動化時代の旗艦モデル ドイツの双璧 キャビンは未来派と合理派に二極化

公開 : 2022.02.19 13:45

馴染みやすいiXのインテリア

iXのほうはというと、BMWのオペレーションシステム8.0を採用するが、ハイパースクリーンほどの武器になるとは言えない。そのキャビンは、1990年代のグラフィックノベルのようなところはEQSよりずっと薄く、はるかに落ち着けるものだ。

驚くほど未来的なEQSに対し、iXは内外ともに、温かみや風変わりさは上だが、フォーマルさは抑え気味。好ましいクルマだ。ただし、ラジエーターグリル代わりに据え付けられたインテリジェンスパネルの見た目が気に入らなければ、すぐに好きにはなれないかもしれない。

BMWの既存モデルに比べれば、iXの内装は未来的なデザインだが、メルセデスほど突き抜けたものではない。であれば、ステアリングホイールは円形のほうがよかったと思う。
BMWの既存モデルに比べれば、iXの内装は未来的なデザインだが、メルセデスほど突き抜けたものではない。であれば、ステアリングホイールは円形のほうがよかったと思う。

概してiXは、EQSより違和感がなく、どこもかしこも馴染みやすい。間違いなくBMW iのクルマで、それはフットウェルに露出したカーボンケージシャシーの一部に強く感じられる。2スポークのステアリングホイールや、フローティングタイプの操作用ディスプレイ、独特な造形のCピラーなどもそうだ。拡大されたi3のように見えないこともない。

インテリアは、好ましい空間だ。非常に広いだけではなく、包まれ感があり、考えられていて、デザインはすっきりしていて、高級感も満点。そして、やや控えめ。慣れ親しんだドイツの高級車らしさがあり、それをアップデートして、合理化を図った感じだ。とはいうものの、風変わりなファンタジーを思わせるEQSのキャビンのほうが好きだと思う気持ちには、抗いがたいものがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。

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