最新高級EV対決 後編 航続距離は1モーターのメルセデスが有利 乗り心地や運動性能はBMWが上

公開 : 2022.02.19 13:46

乗り心地に勝るのはiX

取り回しでは、BMWのほうがちょっとだけ大きく感じられる。それでも、じつにうまくそのサイズを隠している。速度を上げた際のボディコントロールはEQSよりやや引き締まっているが、平坦な道でも横方向の動きを感じる。これは、ヒップポイントの高さゆえだ。

とはいっても、しなやかで、穏やかで、減衰が効いていて、上品な乗り心地だ。これこそまさに、大柄でラグジュアリーな野獣に求める乗り味ではないだろうか。今が2022年で、500psオーバーのパワーを実際に使うようなことはなかったにしてもだ。それも、とくに、われわれの選んだ高級車の技術的な構成に関する多くの部分が、思いつく限りのとてつもなく洗練された理想的なバブルを生み出す狙いがある場合には、そう言っていいだろう。

iXのバッテリーは、i3よりエネルギー密度を40%向上しているという。電動化が必須となった以上、蓄電技術の向上は急務だ。
iXのバッテリーは、i3よりエネルギー密度を40%向上しているという。電動化が必須となった以上、蓄電技術の向上は急務だ。

さて、この2台を比べた場合、より乗り心地も静粛性も高いのはどちらか。今回のテスト車でいえば、少なくともモラル的な勝者は明らかだ。iXの静粛性と乗り心地の洗練ぶりは、間違いなくスペシャルなものだ。2台ともオプションの22インチホイールを装着していたが、クッションが効いて巧みなiXの乗り心地は、EQSがやや優雅さに欠けるものだと思わせることさえあるほどだった。とくにきついエッジや、ひどくゴツゴツした轍に遭った場合はそうだ。

総合力でiXに軍配

EQSの乗り心地はソフトだった。案の定、フワフワと漂うような感じだ。しかし、ときに足をすくわれ、大径ホイールと薄いサイドウォールを痛感するようなこともある。それに対してBMWは、最低でも2インチは小さいホイールを履いているのではないかと思わせる。その一因は、SUVならではの大きなホイールアーチが、より厚いサイドウォールを収める余地をもたらしていることだが、ひどい路面を安定して抑え込み、吸収してしまうことに負う部分のほうが大きい。

メルセデスのほうが上だと思える要素がひとつあるとすれば、BMWのほうにはそれ以上にありそうだ。いっぽうを選ぶ理由は、400くらい思い浮かぶかもしれない。だがそれは、複雑な問題をあまりにも単純化した結果だと思う。どちらも全力を尽くした結果であり、その差は未来のフラッグシップを開発する上での考え方の違いだ。

走りの質、キャビンの質感や広さに勝り、目新しさはこれ見よがしではないほうがわれわれの選択だ。それを造ったのは、BMWのほうだった。
走りの質、キャビンの質感や広さに勝り、目新しさはこれ見よがしではないほうがわれわれの選択だ。それを造ったのは、BMWのほうだった。

しかし、iXは、その完璧さや徹底ぶり、予想外の格式にとらわれない感じが、すべてが優れたクルマだという印象をもたらしている。あくまでも、個人的な印象だ。よりバーサタイルでなんでもできる感じがして、また、EQSほど古風で画一的ではないので、タッチ式デジタル画面が100面あるよりモダンに思える。こちらのほうが、次世代のパーソナルな移動手段にふさわしい感じだ。そう言えば、どちらを選ぶかおわかりだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター

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